賞を競うという点だけから見るのであれば、カンヌライオンズは見誤ってしまうことだろう。カンヌでは、世界のクリエイティブが今、どこに進もうとしているか、最新のベンチマーク(指標)が示されているからである。広告主がカンヌに参加すれば、世界的なCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)や各界のエキスパートの言葉から、直面している問題解決のためのインスピレーションが得られる。応募作品に対する審査員の忌憚(きたん)のない評価に耳を傾けることで、自社のブランド戦略に何が足りないか、再考する機会が生まれる。カンヌは企業にとってマーケティング感覚を、クリエイティブセンスを磨く場なのである。カンヌに参加した日本企業に魅力を語ってもらう。

◇江崎グリコ
玉井 博久氏

マーケティング感性を養う場に
 応募により自社の広告レベル知る

◇ヤマハ
大村 寛子氏

「Make Waves」の思いを具現化
 カンヌでの評価を経営に反映する

◇ANA
末永 千絵氏

日本の「楽しさやわくわく感」発信
 海外でのANAブランド認知向上

クリエイターから
猿人 ENJIN 野村 志郎氏
受賞作はアイデアの教科書、マーケターも刺激