ヤングライオンズ/スパイクス コンペティションへのご応募ありがとうございました。
順次、部門ごとに発表をしていきます。
2022年度はヤングライオンズ/スパイクスともにオンラインでの開催となりました。
本選の日時については、ヤングスパイクス こちら / ヤングライオンズ こちら をご覧ください。

※ページ内敬称略

Digital

デジタル部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、デジタル部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.C046

電通デジタル/dentsu lab tokyo中山 桃歌

電通鎌田 明里

silver prize

Entry No.C036

FACT中村 心

ADKクリエイティブ・ワン有田 絢音

silver prize

Entry No.C049

博報堂下萩 千耀

DE松木 啓

bronze prize

Entry No.C007

ADKクリエイティブ・ワン福島 滉大

ADKマーケティング・ソリューションズ岡村 和樹

finalist

Entry No.C014

McCANN TOKYO中島 智哉

電通テック家倉 マリーステファニー

shortlist prize

Entry No.C012

ADKクリエイティブ・ワン有泉 歩美

ADKマーケティング・ソリューションズ三田 杏奈

Entry No.C043

博報堂プロダクツ奥 祐一朗

博報堂プロダクツ涌井 渚

Entry No.C052

Geometry Ogilvy Japan永田 優太朗

BANANA三橋 智樹

応募状況

提出作品数:45作品

総評・コメント

審査員長 電通 キリーロバ・ナージャ
審査員長 キリーロバ・ナージャ電通

参戦したみなさま、本当にお疲れさまでした!今年のテーマは、「孤独」でしたが、少し難しかったでしょうか。
全体的に「孤独」というものとちゃんと向き合おうとする案が意外と少なかったように思います。孤独の人に無理やり何かをやらせたり、罰則がある案が一定数ありましたが、特にクリエーティブアイディアを競う場においてネガティブアプローチは、表現が面白いとしてもあまり効果的ではありません。なぜならば、本当に孤独と向き合っている人のインサイトからかけ離れてしまうからです。
辛い人が、本当にそれで救われるのでしょうか?深刻な問題だからこそポジティブに一歩を踏み出すためのアイディアが必要だと思います。インサイトをつかんでいたが、それをうまくアイディアまで昇華できなかったチームもいました。ワークしそうな仕組みまでいったら、ぜひもう一踏ん張りしてクリエーティブジャンプをしてみてください。そして、アイディアのネーミングや着眼点の新しさ、ボードの作り方なども重要な要素になります。せっかく見つけたアイディアの「タネ」をどう広げて見せていくか。
見る人の「好奇心」をくすぐることができたら一歩リードです。

今回UberEatsがクライアントかと思うくらい「誰かを一緒にご飯を食べる」ということで孤独を解決しようとするアイディアが目立ちました。コンペにおいてアイディアがかぶった時点で落選ということが多いですが、今回はエントリー数が例年に比べて少なかったこともあり、その中でもベストな案をファイナリストに選んでいますが、メダリストに選んでいるのは、切り口の時点でオリジナリティを担保した案です。プラットフォームに乗っかるのはわかりやすいですが、お互いに組む圧倒的な理由とオリジナリティがないとなかなか難しい挑戦になります。

もう1つ、例年の対面プレゼン審査と違ってオンライン審査だったため、少し今までとプレゼン手法が変わっていたのが印象に残っています。ボードをただ説明するのではなく、演劇じたてのプレゼンでもなく、アイディアをより体験できるように、ストーリーで疑似体験させたり実際にデモを見せるチームがいて、ボードではわからなかったアイディアの細かい点や実際にユーザー体験の理解に大きく貢献していました。本戦もプレゼンで決まるところが大きいので、ボードだけではそこまで伝わらなくても、最後まで自分たちの案を一番よく理解してもらえるようにプレゼンで工夫して粘ったチームが上位を勝ち取ったと思います。

とてもとても基本的なことにはなりますが、
以下の4つのポイントをチェックしながら本戦に進むチームは、本戦で思い切って頑張ってください!今回悔しい思いをしたチームは、ぜひ来年も挑戦をお待ちしています!

①新しいインサイトの発見とリアリティ
②着眼点やアイディアを表すワンフレーズ
③ボードでアイディアの世界観を伝える
④プレゼンでボードにはない体験を生む

審査員 ADKクリエイティブ・ワン 大塚 智
審査員 大塚 智ADKクリエイティブ・ワン

今この時代に、意味のあるアイデアを!

オールリモートでのヤングカンヌ日本予選にエントリーいただいた皆さま、お疲れ様でした。
リモート文化が根づいた今日この頃。
便利になったこともたくさんありますが、ことコンペティションやアワードについては、あの熱気を感じにくい中で、果たしてヤングのモチベーションはアガるのか?アイデアを徹底的に詰めようという根気は続くのか?など、審査会が始まる前、関係者にはそんなちょっとどんよりした空気が漂っていたように思います(僕だけ?)。

ところが。そんなどんよりをスパッと晴らしてくれたのは、リモート時代のヤングならではの、アイデアとプレゼンテーションでした。
勝ち残ったチームが共通して持っていたポイントは、3つあったように思います。

1.2021年という時代に対する、アイデアの鮮度を!

孤独という現代社会で長らく問題になっているトピックスにどう向かい合うか、とても難しい課題だったと思います。
真正面から向き合って「これって解決につながる?」とブリーフに跳ね返される気分になる、そんなことを繰り返すヤングチームも多かったのではないでしょうか。
そんな時はやっぱり「今この時代、この瞬間の孤独の問題」のリアリティを持ったアイデアが、強かった。
ゴールドになったConnect Instant Noodleは、深夜一人でカップ麺を食べる人をつなげる、その瞬間的なインサイトとオケージョンの切り取り方がユニークだった。
シルバーのTalk Counterも、マスクに発話カウンターをつけるという、
with/postコロナ時代にありえる、新しいアイデア。
難しい課題であれば課題であるほど、いつでも成立する(でも誰もやりそうにない)アイデアよりも、「今この瞬間」への感度が高いアイデアが、光るように感じました。

2.プレゼンテーションジャンプ

プレゼンへ進んだチームは、1週間の時間があるのが、今回の予選の特徴でした。
そしてどのチームも、その間にアイデアを、どんどん育てていました。
詳細なアプリデザインまでおとしてくるチーム。
アイデアを際立たせるための小道具を作り込んでくるチーム。
どれも、ただエントリボードを見るだけでは想像できない、「このアイデアはこれだけすごいんだ!」の説得力を高める、すごいパワーでした。
少しでも時間があれば、どんどん伸びてチームが成長していく、という過程をアピールすることも、ヤングコンペの大事なポイントになってきているように思います。

3.デジタルって何だっけ問題

最後に。ここ数年あらゆるコンペで囁かれる「デジタル部門のデジタルって何?」問題。
デジタルが絡まないことはない今では、エントリーや審査をするうえで、とても厄介な問題だと思います。
今回は、そのヒントは「アクショナビリティ=行動変容のおこしやすさ」にあったように思います。
インタントヌードルを食べる時に起きるインスタントコネクション。
普段つけるマスクにカウンターをつけるだけのニュープロダクト。
ウーバーイーツを頼んだら思ったより巨大なので誰かと分けようという、ちょっと強引なアイデアまで。
モバイルやテクノロジーを使っていることはもちろん、そのおかげで「その人が(課題解決に向けて)どれだけ行動しやすくなっているか」が、いいアイデアとして勝ち残っていくポイントになっているように思いました。

それは、未来が予測不可能な時代で、誰かが動く最初の一歩が想像できることが、どれだけ大切か、改めて見直されるタイミングになっているということかもしれません。

カンヌやスパイクスの本戦に進んだチームはもちろん、
どのチームにもポテンシャルは溢れていたので、
時代を動かすヤングのアイデアに、期待しています!

審査員 博報堂 三浦 竜郎
審査員 三浦 竜郎博報堂

今年は、孤独という問題とどう向き合うか?が例年よりも難しかったのかもしれません。
「孤独を感じている人にペナルティを科す」「孤独を感じている間は何らかのサービスをうまく受けられない」「孤独は気の持ちよう」といったアプローチのエントリーが散見され、個人的には「ちょっと残酷だな……」と思ってしまうものが多かったです。まずは一度「孤独とはどんな問題なのか」「なぜその問題が生まれるのか」を、調べたり、自分の中で深掘りしてみてください。
この深掘りはファイナリスト以上のチームもやや弱い傾向があり、本番ではこの「イシューへの切り込み方」で差が出る可能性があります。ライバルにシャープに答えを出すチームが現れた場合、アイデアや定着だけではストレート負けしてしまう可能性もあるので、気をつけてください。

 

ショートリスト以上のチームはプレゼン進出決定から、しっかり準備をしてくれたことが伝わってくるプレゼンがばかりで、うれしくなりました。例年、プレゼン中に長い演劇をはさむ「学芸会型プレゼン」をするチームが多いのですが(もしかしたら先輩から演劇こそ攻略法みたいな怪情報があるのかもしれません。だとしたら普段の競合プレゼンをすこし思い出してください。演劇しないですよね)、今年はプレゼンとしてしっかり準備されており、ボードからジャンプアップしたチームが多かったです。アプリのプロトタイプを、ツールや画像でつくったり、プロダクトのモックを用意するだけでなく、英語のスクリプトも丁寧に準備されていてわかりやすいものが多かったです。ゴールドやシルバーの上位入賞チームは、この辺の力が抜きんでていたと思います。本戦で世界と十分に戦える地力を感じさせてくれました(逆に言えば、その地力をもっとボードでアピールしてほしかったな、というチームもあります笑)。ブロンズ、ファイナリストに残ったチームも、ボードがデザインとして優れていたり、内容も実際のカンヌやスパイクスで受賞しているクリエイティブを勉強しているなと感じました。今年の結果はどうあれ、来年以降も安定して結果を残せる実力があると思いますので、引き続きがんばってください。普段の仕事でもいいアウトプットが期待できそうです。

 

ヤングのエントリーには、普段どんな過ごし方をしているか、何をみているのか、どんなクリエイティブになりたいかが出るなと思います。ヤングの時だけ頑張るというよりは、ぜひ実際のアワードで受賞作のボードを研究してみてください。答えの出し方って、ほんとうにたくさんあり、個性もあります。その研究は、ヤングはもちろん、あらゆる場面で役立つと思いますので、決して無駄にはならないと思います。エントリーしてくれた全チームを応援しています。

Film

フィルム部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、フィルム部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.F024

TBWA\HAKUHODO德岡 淳司

電通萩原 志周

silver prize

Entry No.F020

博報堂プロダクツ松岡 芳佳

博報堂平岡 咲

bronze prize

Entry No.F015

電通デジタル夏 眞雄

GMO NIKKO/ゼロイチ富田 洋史

finalist

Entry No.F023

電通クリエーティブX橋浦 脩人

電通クリエーティブX北本 航

Entry No.F027

STORIES岡田 洋平

電通阿部 瑛里佳

応募状況

提出作品数:29作品

総評・コメント

審査員長 TBWA HAKUHODO 佐藤 カズ―
審査員長 佐藤 カズ―TBWA\HAKUHODO

もう10年近くヤングのフィルム代表選考の選出に携わってきましたが、個人的には今回ほど可能性を感じた年は過去にありませんでした。優勝チームは間違いなくメダルを持ち帰ってくれることでしょう 笑。
それほど皆さん、ある程度勝ち方や法則などの研究はされているようで総合的にレベルの底上げを感じましたが、一方でまだクラフト頼みの作品も多かったような気も。
優勝チームの作品は決して高いクラフトではありませんよね。言ってみればVコンのようなもの。ただ、このチームにあったものは「他と非なる強いアイデア」でした。この一点突破で輝けるのです。

次回挑戦する皆さんにはぜひ、クラフトの手前にある「ロジックと新鮮なアイデア」。
これをギリギリまで考え抜くということを大切にしてほしいです。

審査員 電通クリエーティブX 西井 舞
審査員 西井 舞電通クリエーティブX

スケジュールやペアの調整が困難な中、今年のヤングカンヌに作品を応募してくださった皆様に心より感謝申し上げます。

 今年のフィルム部門では、アプローチやアイデアのユニークさを重視いたしました。

もちろん、映像作品ですので、クラフトがしっかりしていることは大きなプラスですが、限られた制約の中で、既視感のないアイデアを出せるかどうかを最も評価させていただきました。

審査員 もり 原野守弘
審査員 原野 守弘もり

全体的に思ったのは「欧米のフィルム広告の構造やメッセージの選び方」を、過去の受賞作などでもっと研究してほしいな、ということです。日本のCMをつくるつもりで企画すると滑ります。一般的に日本のCMは、海外のアワードでは「何を言いたいのかよくわからない」という評価を得ることが多いです。通用しないのです。ブランドの課題に対してストレートでシンプルなメッセージを考えて、そのメッセージをどう表現するか、そこに意味の企てを企画することが大切です。 

F024は、一次と二次の作品がいずれも高評価だったことで、ゴールドになったと思います。しかしながら、上記のように広告におけるメッセージとは何か、ということを、もう一度よく勉強して、本番チャレンジすると結果に近づく気がします。今のままではダメだと思います。

F020は、チームとしては審査員に対するコミュニケーションが突出していたので、こういう競技に向いているのではないかと思いました。金賞の投票でも接戦でしたが、「フィルム部門では関係ない」という意見がでたことで、惜しくも銀になりました。PRなどプレゼンテーションが存在する部門にチャレンジすると、もっと持ち味が活かせると思います。

F015は、アイデア自身は悪くない気がしましたが、少し月並みな印象で記憶にあまり残らず、銅賞に。コピーも少しメッセージが弱いと思います。がんばってください。

F023、F027は、ワクチン接種を進めたいというクライアント(この場合はWHO)のオリエンテーションに対して、ソリューションになっていないのが気になりました。広告は、自分の考えも重要なのですが、最後はブランドのメッセージとして発信されていく、ということを忘れてはいけないと思います。

審査員 Mr+Positive Peter Grasses
審査員 Peter GrassesMr+Positive

———————————————YOUNG FILM LIONS——————-

Seriously impressed with your spontaneous creativity & productive teamwork!
Your ideas were fresh, original and, in some cases, beautifully executed. 
As a filmmaker, I urge you to think of new angles and new perspectives to communicate you ideas. 
Showing something uniquely helps people to open their eyes & ears. 
Good luck & Study English 

 

——————————THE WINNER—————————————

Case in point!
Your elevator POV got the viewer interested in your message. 
In fact, in both cases,  I think you visual approach was much stronger the message itself. 
Therefore, my advice is to keep thinking of interesting situations & angles to tell your story…. 
And then, once you know where & how you want to shoot… 
Take some quality time to write excellent matching script or copy. 
Good luck & Study English

PR

PR部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、PR部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.PR001

電通PRコンサルティング佐藤 佑紀

電通PRコンサルティング森光 菜子

silver prize

Entry No.PR009

東急エージェンシー山田 将平

ADKマーケティング・ソリューションズ北園 隼大

silver prize

Entry No.PR028

電通水田 秀俊

電通井尻 峻介

bronze prize

Entry No.PR063

電通デジタル相羽 くるみ

電通友田 菜月

bronze prize

Entry No.PR046

電通デジタル青井 優樹

電通デジタル岩﨑 瑠夏

finalist

Entry No.PR039

電通北浦 俊

電通嶋崎 仁美

Entry No.PR056

Birdman清水 陸

大広WEDO高原 龍彦

Entry No.PR076

読売広告社野村 葉菜

読売広告社加藤 知絵理

応募状況

提出作品数:102作品

総評・コメント

審査員長 電通PRコンサルティング 井口 理
審査員長 井口 理電通PRコンサルティング

本年も各カテゴリーの中で最も多いエントリーをいただけたことがなによりうれしいです。
PRという専門領域ではありますが、その視点やエッセンスを学んでいただければどんな案件にも活かしていけるはず。その意味でみなさんの中にPRが当たり前に装備されてきたのだと理解しています。
ただ審査においては、なにか英語のページを埋めるのに一生懸命になってしまったような、そもそもが提案として成立していないようなものも多かった気がしました。英語で書かれた企画書がカッコ良く見えていても、これを日本語で置き直してみたら、あまりに平凡な提案書になってしまうのではないか、そんな印象のものも多かった。また海外アワードのエントリーシートに「Why PR」の項目があるように、「合意形成へ導く共感づくり」や「納得感を強化する社会記号の開発」、「仲間を巻き込むWin-Win環境の創出」などPRの力が活きる、PRカテゴリーならではのアイデアがもっとあっても良かったのではないかとも感じました。
最後に、全体としてロジカルに紡ぐためにアイデアが地味になる、アイデア先行で考えたためロジックが破綻している、というジレンマに陥った企画が多かったように思います。とはいえ、ファイナリストになられたみなさんは抜きん出たクオリティを感じさせる提案とプレゼンをしていただけたと思います。審査員の方々と熱いディスカッションを経ながらも、選出まですんなり辿り着けたのは我々PRプロフェッショナルの視点が統一されているからこそだなと、こちらも心強く感じることができた審査会でした。日本代表として自信を持って送り出せるチームを選出できたと思います。

審査員 博報堂ケトル 太田郁子
審査員 太田 郁子博報堂ケトル

今年の「孤独」というテーマは、普遍的で取り組みがいのあるテーマだったんじゃないでしょうか。
オリエンの課題設定が広かったこともあり、孤独を予防するためのアイディアから、孤独な人を直接的に救うアイディア、孤独でない人々に問題に気づかせて孤独な人に働きかけるように促すアイディアなど、様々な角度のアイディアが集まりました。ただ、PRという観点から評価をした時に、孤独を抱えている当事者を無視しているアイディアや、ステークホルダーのメリットを無視して都合良くプラニングしたものも見受けられました。最終的に受賞したチームは、複数のステークホルダーの共通のWINを見つけて合意形成を図り、仲間を増やしてムーブメントを作ることができる強いインサイトの発見やコアアイディアがあったと思います。
受賞されたチームの皆さま、本当におめでとうございます。
代表チームの皆さま、本戦での活躍を期待しています!

審査員 井之上パブリックリレーションズ 尾上 玲円奈
審査員 尾上 玲円奈井之上パブリックリレーションズ

ヤングライオンズPR部門にご参加の皆さん

お疲れ様でした。コロナ禍でプランニングのあり方や審査手法が変わる中、最多応募のPR部門を勝ち抜いた皆さんは特に大変だったと思います。

「孤独」は課題先進国の日本を始め先進国の大問題である訳ですが、一口に「孤独」と言っても、いじめに端を発する孤独やLGBTQの方々がかかえる孤独、若者の孤独や高齢者の孤独など様々な種類があり、どういった「孤独」をメインテーマに課題解決を論じるのかが最初の難関だったと思います。パブリックリレーションズの守備範囲が広いこともあって、「孤独」の課題認識を深めてもらうことに重きを置くプランから、「孤独」を実際に解消させることに重きを置くプランまで、バラエティに富む皆さんのアイデアを拝読しながら、同時にPRコンサルタントの自分には一体何ができるのか、深く考えさせられました。今回は課題の難解さもあり、最終的に、テーマの切り出しが秀逸な作品が一次審査で勝ち残り、その中で課題解決のアイデアが優れ、実現可能性まで担保して、審査員に上手く説明しきったチームが選ばれたと考えています。

一昨年は「カンヌ、シンガポールの地で共に祝杯を上げましょう!」と呼び掛けましたが、コロナ禍で現地での活動は叶いそうにありません。来年の本戦もオンラインになりますが、日本から送り出されるチームの皆さんは審査員陣のトレーニングを受けることができます。更なる切磋琢磨の後に、勝利を掴み取ってください!皆さんからの朗報を楽しみにしています。

審査員 本田事務所 本田 哲也
審査員 本田 哲也本田事務所

今年もPR部門が最多エントリーだったとのこと。エントリーした皆さん、まずはお疲れさまでした。

さて、今年の「孤独」というお題は、(とりわけPR部門にとって)なかなか厄介なテーマだったようです。孤独イシューを抱える層が若年層から高齢者まで多岐にわたるうえに、「孤独を解決する」という具体的支援アクションもあれば、「孤独イシューを世の中に知らせる」という、そもそもの啓発もある。このあたりをどう捉えて設計するか?がチャレンジだったように思います。そのような中で評価が高かったのは、具体的な解決につながるアクションでもあり、さらに着眼がユニークなのでニュース性があり啓発にもつながる――そんな企画でした。
難易度が高い課題でしたが、頭を悩ました皆さん全員にとって、価値ある経験になったのではないでしょうか。

Media

メディア部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、メディア部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.M043

monopo Tokyo堂福 大成

monopo Tokyo高橋 健太

silver prize

Entry No.M016

電通長谷川 輝波

電通下 穂菜美

silver prize

Entry No.M060

博報堂DYメディアパートナーズ久古 はる香

電通塚田 航平

bronze prize

Entry No.M032

電通デジタル相羽 くるみ

電通友田 菜月

bronze prize

Entry No.M036

大広WEDO田渕 彩花

大広WEDO北上 安見

finalist

Entry No.M008

電通大岩 可南

電通松田 出帆

Entry No.M025

マッキャン エリクソン諏訪 ダニエラ

マッキャン エリクソン木村 要

応募状況

提出作品数:59作品

総評・コメント

審査員長 博報堂DYメディアパートナーズ 嶋田三四郎
審査員長 嶋田 三四郎博報堂DYメディアパートナーズ

ご参加いただいた皆様、受賞された皆様、
本当におつかれさまでした。

コロナ禍による発想環境やオンラインでのプレゼン環境という苦しい状況かつ、 難解と思われるテーマにも関わらず、皆様から生み出される「発想」には、驚かされました。
「ヤング世代…やべーな!」「自分も負けてられねーな」と。

そんな想いを元に、審査をさせていただいた訳ですが、
選ばれたチームには、何か共通する部分があったと思います。

①孤独の解釈の深堀
 「自分達は孤独をどう解釈するか?」…そこでまず勝敗の分れ目があった気がします。
  徹底的に深堀したからこそ生まれる自分達らしい解釈。
そこにあるのは、ぶれないチームとしての意志。
それこそが、発想の原点だと思います。

②メディア部門という意識
 メディアには多くのエッセンスがあります。
 既存メディアを発信手法ととらえる大前提に加え、世の中全ての接点をメディアと言い切ったり、PFを開発しメディア化する発想もあります。
そういう視点だけではなく、メディアはターゲットを規定できるという強みを活かしたターゲティング戦略もできます。
だからこそ、重要なのは、「メディアとは何か?」「全体・個々のメディアの強み何か?」を日々深く考え、自論を構築しておく事。
その意識が、メディア部門の攻略の糸口になるでしょう。

③ポジティブチューニング
 孤独というテーマを深堀すればする程…発想が「重たくなる」傾向が見えました。
 しかし、そういったテーマだからこそ、「ポジティブに発想を転換するチューニング力」が重要です。「ポジティブな発想」こそ…人の意識・行動の変容につながる「原動力」に なるのだと。

 

このような3つの共通項が勝ち抜いたチームの根幹にあったわけですが…
そこからの「差」は…
日本代表として、「世界で戦いたい!」という「努力と執念」でした。

勝ち抜けなかった自分達を振り返り、スキルを磨き、知見を広げ、自分自身を成長させ、研究と対策を重ね、何年も何年も諦めず挑戦し続ける…そんな「努力と執念」。

それを持った人こそが、「有限の時間の中で、無限の知恵を出し、世界で戦える次世代」だと実感しました。

今回勝ち抜けなかった皆様も、そんな気持ちを持って、チャンスある限り、挑戦しつづけ欲しいと、心から願っております。

審査員 New Horizon Collective 内田正剛
審査員 内田 正剛New Horizon Collective

「メディア部門って何?PRやデジタルとどう違うの?」

年々、その境界線は分かり難くなっており、これに対しての明確な解はないと思ってはいますが、<メディア部門>にエントリーしたからには<メディア>への拘りと工夫は大切にしてもらいたい。そう思いながら応募作品と向き合ってみたものの、審査員である自分自身も正直良く分からなくなってしまいました。良い施策であればよいではないかとも・・・

 個人での一次審査へ進める作品の選定には悩みました。毎年、全ての応募作にざっと目を通した段階で、おおよそ次の審査に進めたい作品の粗選びは完了するのですが、今年は企画書を一瞥しただけで「これは!」と思える作品には出会えませんでした。複数回企画書を読みこむ中で、ようやく選び出した感じです。そして4人の審査員の選定作品も見事にバラけていました。一次審査では審査員一人一人が選んだ作品の応援演説をすることによって、企画の輪郭が少しシャープになり、未知なる魅力が付加された感じです。私達の選ばなかった作品の中にも、実はプレゼンの機会が与えられれば、その企画が素晴らしく魅力的に感じられた作品があったかもしれません。
二次審査での参加者のプレゼンは全てが平均点以上と言える内容で、ここ数年で最高のレベルだったと思います。ただし、いくらプレゼンが上手く行ったとしても、企画書の内容から飛躍的なジャンプはしないという実状も感じました。平均点は高いけど、突出した作品はやはり現れなかった。普通の石ころは幾ら磨いても金にはならないですよね。改めて企画書そのものの重要性の高さを再認識しました。
オンラインプレゼンは多くの参加者にとってネックとなる語学力という面では追い風な点もあります。そして時間をかけて原稿を用意し、プレゼンの準備を丁寧に繰り返せば、一定以上のクオリティは担保されるのではないかと。だからこそ、2人の存在意義・役割分担から醸し出される<チームワーク>や<熱い想い>が大切になり、この2つの強さが受賞した賞を分けました。オンラインだからこそ、一見あまり関係ないように思われる<熱量><空気感>が改めて大切になることを十分意識して臨むことが大切だと思います。昨年のカンヌでのシルバーを超える最高の賞の受賞を期待しています。

審査員 ORIGINAL/タイムアウト東京 東谷 彰子
審査員 東谷 彰子ORIGINAL/タイムアウト東京

2年目の審査となりましたが、今年もやはり、メディアの多様なあり方についてあれこれ考えさせられました。既存メディアだけではなく、ソーシャルメディアからUber、電子レンジに至るまで、いくつもの提案があり、審査会では多くの議論も交わされました。
そんな中で何よりも印象的だったのは、「努力し続けることのできる才能」は尊いということでした。何年もこのコンペティションに挑戦し、コツコツと実力を伸ばしてきたチームが多く、その真率な熱意に、心を打たれました。そのプレゼンテーションから、データを読み込み、解析・分析をしっかり行っていることも、よく見て取れました。

一方で、もうすこしグローバルな視点を意識することで、海外のジャッジにもより理解されるのではないかという印象も持ちました。

今回のテーマは孤独。どんな規模でも良いので、企画が実現されていくことによって、社会課題の解決につながっていくことを願っています。

審査員 TBWA HAKUHODO 中尾 素子
審査員 中尾 素子TBWA\HAKUHODO

「孤独」という今回のテーマは非常に奥深く、その捉え方やターゲットの設定の仕方含めてアイデアも多岐にわたったため横並びで評価するのは少し難しく感じましたが、審査をしていて最も心に響いたのは、ネガティブな「孤独」をポジティブに変換しているアイデアで、Goldを獲得したMy Loneliness Vaccineもその一つでした。 
アイデアの中には日本特有の孤独感にチャレンジしたものや、アウトプットが日本の文化、日本人固有の感覚に立脚しているものもありましたが、グローバルコンペにおいてはワールドワイドな審査員にそのユニークネスを理解してもらえる説明力、説得力も大事だと思います。

受賞者の皆様はぜひこの点を意識して本戦で活躍していただけたら嬉しいです!

個人的には「孤独」を解消するひとつのオポチュニティとして「メディア」そのものが大きな役割を果たしているのではないかと思っており、その点にフォーカスしたアイデアがあまりなかったのは「メディア部門」としては少し残念にも思いました。 
来年もたくさんの素晴らしいアイデアに出会えることを楽しみにしています!!

Print

プリント部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、プリント部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.P028

Septeni Japan飯島 夢

東急エージェンシー古林 萌実

silver prize

Entry No.P013

マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン吉田 彩音

マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン村川 恵理香

bronze prize

Entry No.P052

電通東日本森 玲於奈

たきコーポレーション森本 一平

finalist

Entry No.P026

電通藪本 晶子

電通森宗 高大

Entry No.P038

大広洲戸 健之

大広松村 遼平

Entry No.P044

電通テック遠山 麻子

電通テック小野 愛佳

Entry No.P069

電通テック渡辺 香志

電通テック狩野 史帆

shortlist prize

Entry No.P001

博報堂宮坂 和里

博報堂大山 大介

Entry No.P041

TBWA\HAKUHODO宝田 夏奈

TBWA\HAKUHODO上杉 莉子

Entry No.P048

ハッピーアワーズ博報堂内山 奈月

博報堂島田 彩

応募状況

提出作品数:63作品

総評・コメント

審査員長 電通 八木 義博
審査員長 八木 義博電通

「助けを必要としている時には手を差し伸べないで、手遅れになってからそれを悔やむ。」という強い発見的事実がゴールド作品にありました。孤独という課題を本質的に捉えて、世の中に対しての「問い」のようなものを発見できているものが、上位入賞作品として選ばれたと思います。しかし、その発見から、もっと有効な他のアイデアや表現があったかもしれない。と入賞作品からみんなに想像してもらいたいと思います。作り手がアイデアを決定する時、今とらえている気づきが、何か正解のようなものに感じられ、ついそのままを画面に表現してしまいがちです。しかし、コミュニケーションとして考えた時に、見ている人の感情も一つの要素となることを忘れてはいけません。人は不思議なもので正しいことを言っていても、押し付けられると途端に拒否したくなるものです。見ている人が自ら好んでその1枚の広告に参加してもらうこと。それは何かしらの感動がそこに起こるということであり、それは深い共感につながるはずです。そうして初めて「伝わる」が成立するのではないでしょうか? 来年度へのチャレンジに向けて、是非そういった視点で入賞作品をみていただければと思います。
ありがとうございました。

審査員 Tang 尾形 真理子
審査員 尾形 真理子Tang

企みのスケールをどのぐらいの大きさにするか。「孤独」という問題に1枚のプリント広告がどう立ち向かえるのか。課題として特徴的だったのは、企みのスケールが大きければ大きいほどいいと言い切れないのが、審査でも難しいポイントでした。皮肉なことですが、孤独は、1枚のプリント広告では根本的に解決できない。その「絶望感」をスタートに一矢となる何かを探るような課題だったように思います。

その中でGOLDは最もドキッとさせたものでした。人を失った後に、伝えていない思いが溢れ出す。そんな悲しい焦燥感は経験がなくとも胸に迫るインサイトが鮮やか。吹き出しを使った作品も多かったですが、穴の中にいる人に、かける言葉が階段になるというアイデアは、具体策がイメージしやすいものでした。
「孤独の問題」を我々ひとりに一人に関わる社会課題として、どう顕在化させ、提起していくのか。正解のない問いを考える力を評価したいと思いました。

審査員 金ノ井 金井 理明
審査員 金井 理明金ノ井

今回は、現代社会に暮らす我々にも身近な問題でありながら、実際に企画するとかなり難しいのだなと感じました。今回選ばれた方々の作品はその中でも課題を深く考えている痕跡を見ました。

課題のオリエンをよく読み込んでいるチームもたくさんいましたが、反面オリエンの情報をそのままコピー・ビジュアル化したところで終わっていたり、そのせいで企画が他チームと被っていたものが多くありました。選ばれたチームの定着・コピーとビジュアルのバランスは完璧というわけではありません。その基準でみるとビジュアルの美しさや整理がきちんとできているチームもありました。しかしそれ以上に課題への深い洞察やアイデアがとても大事で、海外のチームと戦うための第一条件なのかもしれないと思います。

1位になったアイデアは「こういうこと自分もしてしまっているのではないか」とチクッと胸が痛むというか、そんな後ろめたい気持ちを気付かせるアイデアでした。本戦の時も課題の捉え方、そしてそのアイデアの定着を海外の審査員に見てもらえるというワクワクする気持ちで挑んでください。

応援しています!

審査員 ADKクリエイティブ・ワン 三井 明子
審査員 三井 明子ADKクリエイティブ・ワン

ご参加いただいたみなさま、お疲れさまでした。

今年のテーマは、「孤独」。とても重くむずかしいテーマです。「孤独」なかたに向けたメッセージ、周囲に向けたメッセージ。ネガティブを強く伝えるもの、ポジティブに置き換えるものなど、さまざまなアプローチがありました。そのなかでも、意識や行動を変えるものを評価したいと考えながら審査にあたりました。

実際に「孤独」を抱えているかたに向け、救いを目指したメッセージはとてもデリケートです。メッセージがよりネガティブな意識を引き起こす可能性もあります。コンペティションとはいえ、その配慮がされていない表現は、強くユニークなものでも評価しにくく感じました。 プリント部門は提出作品のみでの審査。企画説明のテキストもありません。その一作品のみで判断するのはむずかしいと感じつつ、普段の生活で目にしているプリント広告もまさに一度の印象や強さが勝負。それと同じだと考え、事前審査(個別審査)では、一読者の立場というスタンスで作品を拝見しました。

上位選考は激戦で、審査委員長の八木さんを中心に、金井さん尾形さんと議論を重ねて、何度も何度も投票を繰り返しました。ゴールドは、初めて拝見した時にいちばん心に残った作品。今でも時々思いだすほどのメッセージ力です。シルバーは、社会的な事象を取り上げたインパクトのある作品。ブロンズは孤独のかたに向けたアプローチのなかでも、やさしさがじわじわと伝わってくる秀逸な作品でした。

ファイナリスト、ショートリストにも印象に残る魅力的な作品が多く、とても迷いました。ただ、切り口、ビジュアル、コピーのすべてが強いものはあまり多くなく……。いずれも最後のツメ次第で上位になる可能性もあったのに、と残念に感じておりました。 審査を通して、わたし自身が「孤独」というテーマと向き合うことができました。さらに、エントリー作品にエネルギーに触れることで、大きな刺激をいただきました。貴重な機会をありがとうございました!日本代表として戦うチームのみなさまのご健闘を心から期待しております!

Design

デザイン部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、デザイン部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.D005

博報堂ケトル小渕 朗人

博報堂天畠 カルナ

silver prize

Entry No.D014

東北新社シュレスタ まな

WTFC吉川 大介

bronze prize

Entry No.D011

マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン吉田 彩音

マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン村川 恵理香

bronze prize

Entry No.D032

電通林 苑芳

アドブレーン中村 龍

shortlist prize

Entry No.D018

東急エージェンシー押田 興貴

東急エージェンシー奥村 翔

Entry No.D021

ADKクリエイティブ・ワン堤 瑛里子

ADKクリエイティブ・ワン今野 翔太

Entry No.D022

TBWA\HAKUHODO二谷 輝郎

博報堂奥野 凜

Entry No.D024

博報堂西出 壮宏

博報堂坂本 俊太

Entry No.D025

電通大澤 希美恵

電通末冨 亮

Entry No.D028

電通東日本森 玲於奈

たきコーポレーション森本 一平

Entry No.D078

電通テック小阪 紗季

電通東日本 東北支社泉井 杏理

応募状況

提出作品数:36作品

総評・コメント

審査員長 電通 八木 義博
審査員長 八木 義博電通

「孤独問題の本質は世界中で自分一人だけがつらい思いをしている。という固定観念なのではないか。同じような思いをしている人は世界中にいて、自分一人だけのことではないと認識することができれば、人はその孤独を受け入れて強くなれるのではないか。」ゴールドに輝いたのはそんなインサイトから、孤独に苦しむ人たちにとっての世の中とのつながりを可視化しようとするスタンスが評価されたのだと思います。それぞれ違う場所からでも、今この瞬間に同じものを見ているかもしれない。という月のモチーフが持つ情緒的な既成概念を利用しているところも良かったと思います。しかし、見え方としてのオリジナリティが希薄になってしまうという側面もあり、議論になった部分もありました。せっかく評価できる良いコンセプトワークをしていても、ビジュアルアイデンティティとして適切なアウトプットにうまく導き出せていない作品もありました。アウトプットの質を感じることができなければ、人の心を動かす旗印にはなり得ません。最終的な見え方となるビジュアルアイデンティティの魅力がどこなのか?実際に機能する耐久性があるのか?そういったところにも意識を高く持つことができれば、デザインのレベルが1段上がると思います。ありがとうございました。

審査員 CAMOUFLAGE 石山 寛樹
審査員 石山 寛樹CAMOUFLAGE

総評:
まず「孤独」がテーマということで、正解がなさそうな捉え方の難しい課題だなと思いました。大変だったと思います。特にデザイン部門は、出てきたアイデアがアイコン的なデザインから、インテグレーテッド部門的なものまで多岐に渡っていて、その結果、審査員の間でも票が割れてしまいました。それでも、上位に入ってきたものは、議論を重ねる中でみんなが納得して選んでいったものです。
今回、「孤独」という広いアプローチができる課題をどう捉えるか悩んだと思います。広く捉えるか、あえて狭く捉えるか。どちらもあると思いますが、ショートリストと色付きの差で言うと、浅く捉えてアイデアに定着させたか、ある程度ちゃんと考えてからアイデアに定着させたかの違いはあったのかのなと思います。さらに、デザインとしての評価と、施策としての評価と大きくは2軸あった中で、圧倒的に優れたチームは実は今回はいませんでした。ゆえに、票が割れたのかもしれません。ただ、色付きに届いているアイデアは、そのデザインが、孤独を解決に導こうとしている施策になっていたように思います。さらに、本戦で勝ち抜ける力強さがあるのかどうかが最後の指標になっていきました。詳しくは、以下で言及させてください。

ゴールド:UNDER THE MOON
実は最初はそこまで魅力的なアイデアには見えませんでした。どちらかといえば、ストレートフォワードなアイデアかなと。しかし、日頃、月を見るために外に出てみると、割と多くの人が月を眺めている現象があったり、そういった人々の行動インサイトを踏まえて設計させているので共感度も高く、シンプルなビジュアルデザインとも相まって、結果的に見事ゴールドまで上り詰めたという印象です。インサイトがある部分をシンプルに施策とそしてデザインにまで昇華させたのが勝因だと思いました。おめでとうございます。本戦ではより強いアイデアでゴールドを目指してください。

シルバー:SHAPE OF LONELINESS
最初に見た時は、孤独を正面から捉えて、形にならないものをなんとか捉えて形にしようとしているところに魅力を感じました。同じような孤独を抱えている人がいるとわかれば、確かに自分だけじゃないと思うなと。ただ、そのデザインについては人によって意見はわかれていましたね。私自身は、孤独を測るそれぞれのワードがもう少し練られていたら、より良かったなと思いました。やや単純なワード選びにも見えてしまったので。しかし、ゴールドと最後まで争ってのシルバーです。

ブロンズ:LUCKY TO BE ALONE
良かったのは、孤独をマイナスに捉えずポジティブに捉えている点です。しかもラッキーとまで言ってしまっている大胆さ。ただ、偉人たちの言葉を用いてコピーを作っていましたが、その精神が、本当に孤独に負けそうな人に対してというよりは、精神が強いエリートサラリーマン的な人には響くかもしれないものであって、どこまで響くものなのかは議論になりました。しかし、この逆転の発想はこのアイデアだけだったので、ブロンズです。

ブロンズ:MOODIE
最初見た時には、微笑ましいアイデアだなと素直に思いました。デザインはかなりシンプルですが、そのデザインが孤独に対してのソリューションになっていると思いました。ただ審査員の中で、この描かれた口の表情と孤独な気持ちが必ずしも一致しているわけではないのでそこの精度は怪しいと思うと。ただ、何かしらの気持ちのサインを発していることにはなるので、一定以上の評価はできるんじゃないかということでブロンズだったかと思います。

ショートリスト:
Loneliness Emergency Exit
は、デザインとしてはよく出来ていると思いました。孤独に手を差し伸べるスケープゴートとして、機能しそうだなと。ただ、その先の具体的な施策についてもう少し踏み込んでも良かったのかもしれません。そこがあれば良かったです。
Parenting Markは、女性が言い出しにくいことをデザインアイコン化していることが評価されました。女性の気持ちをよくわかっていると。一方で、孤独というテーマにフィットしているのか、解決に繋がっているのかというところが弱いなとも感じたアイデアでした。
Graduation Teardropは、デザインとして綺麗だし目を引きました。ただ、一方で施策としては細かい指標をデザインに落とすという意味では反映しきれてなかったのかもなとも思ったアイデアでした。アプローチはシルバーのアイデアと似てるベクトルではありましたが。
Chance of Lonely Mindは、最初、面白いなと思いましたし、デザインも整っているとも感じました。ただ、その先の展開はなかったのが勿体なかったなと思います。孤独を天気と照らし合わせるだけでなく、施策としてより踏み込んでも良かったなと。
Unloly Liquorは実は好きなアイデアでした。酒飲ませるんだ、1周回ってアリかもって笑
孤独を和らげる手段になりそうとも直感的に思いました。ただ、デザイン部門で評価すべきアイデアなのかなと。プロモーション部門であればもっと評価されたのかもしれません。
Unlock Lonelinessは、デザインとしての評価が高かったです。鍵穴と人が似ていることを発見して、デザインに落とし込んだ部分が良かったと。ですが、それ以上は特になかったので、施策として何かに繋がっていたりするとより良かったのかもしれません。
Break Lonelinessは、理屈抜きに元気が出そうなデザインなのが良かったと思いました。そいうパワーに溢れたデザインでした。しかし、これも逆にそれだけではあったので、その先に施策に生かされているとより良かったのかもしれません。

以上ですが、みなさん本当にお疲れ様でした!本戦に行かれるチームは是非とも頑張って結果を出してください。今回、うまくいかなかったチームも、何か得るものはあったかと思うので、来年のコンペや日頃の仕事に還元してもらえたらと思います。ありがとうございました。

審査員 電通 筒井 晴子
審査員 筒井 晴子電通

コンペに参加されたみなさま、お疲れ様でした。審査は難しかったです。

最初から審査員の票が割れ、それぞれに良いところ、もう少しこうあればよかったという議論が続きました。その中で私は、本戦で戦えそうなチームか(偉そうにすみません)、という視点でゴールドを選びました。
私がカンヌで審査したときは、ヤングの審査は最終日。世界の一年分の応募作を数日かけて見て、議論し、グランプリを決定した翌朝でした。審査員たちも研ぎ澄まされ、議論なしの全員一致で即決。変な話、解説文章を読み込まなくても「これがいい」はすぐ決まりました。(もちろんちゃんと読みますが)そんな戦いなので、かぶっていない、強さ、発見、企み、圧倒的な鮮やかさが必要だと思います。あと時間のない中でのアウトプットの美しさ。(時間配分の勝負とも言えます)
今回のお題はとても難しい。都市の孤独の何にフォーカスするのかをみなさん探されたと思います。それを本気で解決するのか、解決するのが困難だと判断して(この判断も大事です)、いかに課題と世の中を捉え直すのか。
『UNDER THE MOON』には後者の視点があったと思います。スーパームーンや160年振りの月食がくると、みんなが空を見上げる。ああこんなに人がいるんだなあと思った記憶。世界の共通認識と人間の性を見つけた。課題を本気で解決しようとするもの、解決はできなくとも気づきを与えて人をつなごうとするもの、並んだ時に今回はこれに決まりました。講評も後付けです。制作された人の意図と違うところで選ばれることもあります。審査員のプラスアルファの解釈やこうだったらもっと良いねも加味されて、順位がつきました。
ショートリストにのこった作品は、どれもゴールドになる可能性がありましたし、でもどれか一つを選ばなければならない。自分が審査員だったらこれを評価する理由は何か、を考えると次のアイデアにつながるかもしれません。(言うは易しなのですが)

みなさまのデザインを、本当にありがとうございました。

審査員 博報堂 永松 綾子
審査員 永松 綾子博報堂

LONELINESSというテーマは面白いと感じた反面、漠としていて、VI化しないといけないデザイン部門の課題は特に難しいと思いました。 VIそのものではとてもソリューションできない。でも課題解決に繋がる可能性を秘めてないといけない、アイデアがあって、もちろんVIとしてのデザイン性も高くないといけない…。
あらゆるアプローチの作品が集まり、審査する方もどこに評価基準を置くべきか悩ましかったですが、多様な作品を見て感じたのは、そもそもデザインってそれを見たターゲットに最終的にどんな感情を生むことができるか?だな、ということ。

先進国が生んだ弱者(と呼んでいいのか分からないけど)に対してちゃんと寄り添えるルックスなのか?困ってる人が本当にアクションしてみたいと思うのか?それを見て何か少しでも救われたような気持ちになるのか?個人的にはその点はとても気になりました(もちろんメッセージも含めて、ですが)。
そういうデザインをするには、やはり課題の背景をしっかり受け止めることが必要なのではないでしょうか。

ゴールドの作品はLONELINESSを正面から捉えていて、シンプルでシンボリック。普遍的な強さがありながら、心を弱めている人にさり気なくフィットする佇まいに好感が持てました。カタチとしては黄色い丸、「月」そのものなので、何か特別なデザインを施したという訳でもないのですが、このテーマにこのモチーフを持ってきたところが評価できると思いました。エモーショナルでいいですよね。
ただシンプルで大掴みな分、物足りなさを感じる面もあったので、施策の展開例やコピーなどもう少し掘り下げてほしい気持ちになりました。本戦に向けての課題かなと思います。

Integrated

インテグレーテッド部門

たくさんの御応募ありがとうございました。以下、インテグレーテッド部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.I041

オリコム瀧 智之

エブリー水野 拓哉

gold prize

Entry No.I012

A.T.カーニー蓮田 潤

大広蓮田 真優美

silver prize

Entry No.I039

ADKクリエイティブ・ワン有泉 歩美

ADKマーケティング・ソリューションズ三田 杏奈

bronze prize

Entry No.I028

電通山本 和幸

電通辻 健太郎

finalist

Entry No.I023

ADKクリエイティブ・ワン砂川 大

ADKマーケティング・ソリューションズ辻 佑介

応募状況

提出作品数:45作品

総評・コメント

審査員長 博報堂 木村 健太郎
審査員長 木村 健太郎博報堂

みなさんこんにちは。お疲れ様でした。

どんな孤独の人を救うのかによって無数な解決の切り口が考えられる上、インテグレーテッドというフレキシブルな部門なため、応募作は多様な戦略と多様な手口のまさに異種格闘技戦となりましたが、最終的にはみんなのお手本になるファイナリスト5組から、海外で勝ち抜ける戦闘力を持ったゴールド2組を選抜できたと思います。
多くのエントリーが、人と出会うきっかけや人のぬくもりを感じる仕掛けから発想したアイデアだったのに対し、ショートリストに残った5つのエントリーは、もう少しさかのぼった本質的な課題解決の切り口から着想したアイデアでした。どれも甲乙つけがたい素晴らしいインテグレートアイデアでしたが、プレゼンテーションと質疑応答での戦闘力でゴールドの2組が一歩抜けた感じです。
とても勉強になる切り口だと思うので、審査員全員に作品講評をお願いしました。是非読んでいただいてそれぞれの技を盗んでください。

ゴールド
孤独を、人に隠したくなる内的なものから、堂々と話題にできちゃう外的なものにしちゃえばきっと解決するはずという着想から生まれた、天気予報ベースの「孤独予報」を作るというアイデア。
エグゼキューションは地味だけど、心の痛みは世の中で見える化すれば自然と消えていくものであるという人間の本性をついた本質的な課題解決です。
個人的には「ロンリネスセール」のアイデアも好き。ネガティブなものをセレブレートすることでハッピーなことにしちゃう逆転の発想ですね。
また、このチーム、プレゼンが抜群に効果的でした。ニュースキャスターがドクターロンリネスという人にインタビューしながら、このアクションを報道するCNNみたいなニュース番組がプレゼンになっていたんだけど、これがPRの露出イメージそのものになっていて、なるほどこうやって世界に拡散するんだーって明快にわかりました。
僕はヤングの審査をかなり長い間やってきたのでいろいろなプレゼンの演出を見てきたけど、このチームのニュース風プレゼンは、リモートプレゼンだからこそできるとってもかしこい演出でした。

ゴールド
筋トレすると、テストステロンというホルモンが出て、孤独な気分なんて吹き飛んでいってしまうんですよ。だからみんながんがん筋トレしましょう。そしたら孤独問題は解決します。
なるほど確かに俺もそうかもなーと実感できて、さらに一応科学的な根拠もあって、でもかなりぶっとんだ解決策です。
さらに、告知や拡散のアプローチは、自治体から来るワクチン接種の案内状のパロディでアテンションをとるしくみ。実はこの部分は企画書の段階ではあまりよくわからなかったんだけど、プレゼンで送付状のサンプルを見せてもらって、なぜタイトルが「マッスルワクチン」なのかがよくわかりました。
これ、孤独というよりコロナの企画じゃないかな、孤独な人に届くのかな、一体いくらかかるのかな、など細かく考えるとつっこみたくなるところ満載なんけど、とにかくブリーフからのジャンプの飛距離がすごい。
正しいことより楽しいことの方が強いことが多いし、頭いい企画よりアホな企画のほうが突破力があることが多いのです。
他の人が思いつかないオリジナリティという点では他のチームを圧倒していました。
リアル姉弟のパワフルなプレゼンも素敵でした。

 

シルバー
この企画は、孤独な老人とリモートワークの場所がない若者とのマッチングという、ショートリストの中では唯一「人と人の出会いのきっかけを作る」という順目な発想でしたが、エアビーアンドビーのようなサステナブルなビジネスシステムにまで組み上げているところが他の案と一線を画したと思います。 プレゼンとQ/Aセッションでの受け答えの柔軟さも見事でした。
この施策で実際に若い人にお菓子やお茶を出してリモートワークの世話をしているおばあちゃんの笑顔がありありと想像できる、とってもラブリーなプレゼンでした。

ブロンズ
ペットには孤独を和らげる力があるという解決策の発見が太いのと、年間の孤独死する人の数と屠殺される猫の数がほぼ同じであるというデータの発見がとにかくすごい。
課題解決のポイントのずらし方が上手だし、人と猫が命を救いあうというストーリーが美しいアイデアだと思いました。
キービジュアルのアートディレクションもシンプルでわかりやすくて、英文読まなくても入ってくる。グローバルピッチのお手本になるデッキです。
一次選考では、企画としては、僕の中のナンバーワンでした。
Q&Aセッションでも、自治体がパートナーに先立たれた人をリスト化して送付する、飼い主が先に死んでしまったら別の老人のとこにいく、などディテールについても緻密に考えて誠実に答えていただきました。ただし、もともとの企画のレベルが高かっただけに、プレゼンの時間にさらに評価をグッとあげるポイントが打ち出せたらよかったのになと思いました。

ファイナリスト
ウォーリーをロンリーに変えて、絵本の中で寂しい人を見つけ出すエンタメ体験で課題を解決するという非常にシンプルなアイデア。
一次予選でも審査員に人気があってたくさん票が入りました。
でもプレゼンを聞きながら、数多ある絵本の中でこの本がなぜ話題になるのかがよくわからなかった。Q&Aセッションでそこをクリアにする逆転ヒットを打てたらよかったなと思います。

審査員 博報堂 安慶田 隼
審査員 安慶田 隼博報堂

全体講評
「孤独」という大きな課題で、どれくらいの解釈を入れるかが難しかったと思います。リアルに人が動きそうかという冷静な目線と、海外のライバルに当たり負けない強さ。そのバランスがヤングコンペの難しさですが、みなさんのアイデアを拝見しながら僕だったらどうするだろうと考えさせられました。

複数枚でアイデアを説明するというフォーマットのためか、ダラダラと思いつくままに説明を書いてしまって、1ページ1ページでなにを伝えるべきなのか、アイデアの細部は筋肉質に詰められているのかなど、まだまだブラッシュアップの余地があるチームが多かったように感じます。ファイナリスト以上に残ったチームは、推しやすい理由がどこかに明確にあります。視点のユニークさでもいいし、ジャンプのあるエグゼキューションでもいいし、精緻な展開設計でもいいし(もちろん全部でも!)、アイデアのタネを見つけてからこそが勝負なんだなと、改めて実感しました。
みなさんお疲れさまでした!

■ゴールド LONELINESS FORECAST 
僕の中では、プレゼンでいちばん評価が上がったのがこのチームでした。自分たちのアイデアの強い部分、アピールすべき部分がどこかが明確にわかっていて、本戦でも大丈夫だと思わせる安心感がとてもよかったです。必死で考えていると、どこがアイデアのコアなのかふと見失ったりします。それを客観的に整理して磨き、プレゼンの隅々にまで定着させるという地道な作業が、結局は近道かもしれません。本戦も応援しています!

■ゴールド MUSCLE VACCINE 
「筋肉は裏切らない」的な文脈で、太いところを狙いにいったワイルドさが魅力的でした。プレゼンもよく準備されていて、質疑応答も審査員と自然なインタラクションがあり、柔軟で強そうなチームだなと思いました。どうして筋トレしたくなるんだっけ?普通のジムのメニューとどう違うんだっけ?そのあたりのモチベーション設計がこの施策がワークするかどうかを左右する肝だと思うので、そこのアイデアがもっと見られるとよかったなと思います。本戦も頑張ってください!

■シルバー @GRANDPARENTS OFFICE
とてもよくまとまったアイデアでした。細かい質問に対してもパッと対応できており、きちんと練られていることが伝わりました。一方で、すこし仕組みっぽい印象があり、多少乱暴でもクリエイティブジャンプがほしかったです。本戦だとボールドなアイデアたちに殴り勝ちしないといけないので、強さを意識できるといいですね。仕事場と高齢者を掛け算することが本当にうれしいことなのか?という疑問も若干ありましたが、このチームに限らず、自分だったら本当にやりたいのかを自問してみるのも有効ではないでしょうか。

■ブロンズ CAT LETTER
まず、このチームはプレゼンデッキの作り方が他のチームと比較すると頭一つ抜けているなと思いました。なにがアイデアなのか、どうすれば魅力的に見えるのかをきちんと考えてデッキに落とし込めていて、基礎力の高さを感じました。孤独死する人と殺処分される猫の数がほぼ同じというファクトはとても強く、単に「猫って癒されるよね」ではない太いアイデアになっていたと思います。プレゼンとても楽しみにしてたのですが、資料での審査からあまり伸びなかったな…という印象です。どんなアングルの質問でも詰まらずに堂々と打ち返せると、本戦ではそこでもプラス点になるので、やり過ぎくらいに準備しておくのがいいと思います。

■ファイナリスト WHERE’S LONELY? 
シンプルかつ一発でわかるエグゼキューションと、やってみたくなる感じがとてもよかったです。ライバルと被らないアイデアを、説明なしでも伝わる単純さでまとめるのがヤングコンペでは大切ですが、その点で期待できるチームでした。質疑で答えに困ってしまったのが残念です…。いかに魅力的なアイデアだと売り込めるかが勝負の大部分なので、来年も頑張ってください!

審査員 I&S BBDO 押部 由紀奈
審査員 押部 由紀奈I&S BBDO

たくさんの素敵な企画たちを、素晴らしい審査員の方々と共に審査することができ、非常に光栄かつ、たいへん勉強になりました。この部門を選んで応募してくださった皆様、ありがとうございました。
私は幸運にも、多くのヤングな皆様が応募されるであろうヤングカンヌ/ヤングスパイクス/ヤングロータス3大会の予選~本戦までの経験があるので、皆様にお役立ていただけることを願って、僭越ながらその観点から講評させていただきます。まず、各大会のクライテリアなのですが、

【ヤングカンヌをはじめ欧米系が強い大会で重視されがちなクライテリア】
1)ロジック(ストラテジー~アイデアの流れがシンプルで、他に変えようがないほど強い繋がりがあること)
2)コアアイデア(世界中の多くの人の心を普遍的に動かせると感じさせる、インサイトフルでボールドなメッセージ)
3)アクチュアル(実際に世に出たとしたら、着実にリザルトに繋がるであろうことを確信できる手堅さ)

【ヤングロータスをはじめアジアの大会で重視されがちなクライテリア】
1)力強さ(多少論理に飛躍があったり、メッセージで人の心を変えるというよりはゴールイメージをメッセージにしたりして、力技で成立させる強引さ)
2)ユニークさ(圧倒的に他とは違うクセのあるロジックやアイデア)
3)プレゼンパフォーマンス(欧米系はその場では一見愛想よく盛り上がってくれるのにその実マジでアイデアやロジック等企画の本質しか見てませんが、アジア系はパフォーマンス自体も評価して点を入れてくれたりします。英語力に関しては、しどろもどろレベルはさすがにNGですが、話している内容さえきちんとしていれば、意外にも双方とも拙さはあまり気にされません)

…といったイメージです。ただ、これはおおまかな傾向であって、アジア系の審査員が多ければカンヌでも後者寄りのクライテリアになりがちだし、部門によっても違うし、審査員ごとの個人差もあります。
ヤングスパイクスに関しては、カンヌ系列の大会なのでカンヌの同部門に影響を受けがちであることや、パシフィック(オーストラリアやニュージーランド)が強かったりすることから、アジア系大会ではあるものの、上記2つのカンヌ寄りの中間くらいにクライテリアがあり、カンヌに同一部門がないインテグレーテッド部門は、より真ん中に近い印象です。

たとえば、LONELINESS FORECASTチームの強みは、インサイトフルでメッセージ性のあるコアアイデアによって、人の心を動かし、広くあまねく行動を変えようとしていること。一方、MUSCLE VACCINEチームはゴールイメージをコアアイデアとしており、肝心のどうやって人の気持ちを変えるのかが想像しづらい部分がありました。
だからこそなのかもしれませんが、MUSCLE VACCINEチームはインセンティブによって人をアクチュアルに動かす施策としており、強烈なゴールイメージがコアなことも相まって、即効性のある結果がイメージできました。一方で、LONELINESS FORECASTチームはメッセージによって人の心を動かして、それによって行動を変えようとしている分、直接的な変化がイメージしづらく、時間がかかるように思われてしまう可能性もあります。
ヤングカンヌなら、迷わずLONELINESS FORECASTチームを1位に推すし、ヤングロータスなら、MUSCLE VACCINEチームを1位に推す、というとなんとなくイメージしていただけますでしょうか。ヤングスパイクスインテグレーテッド部門では、審査の流れや審査員次第で、双方ともに勝ち目があります。今回は、そんなふうにそれぞれの戦い方で上位にのぼってきた2チームに本戦に進出していただくことができ、それぞれの良さを活かしたアイデアを拝見できるのが楽しみでなりません。おめでとうございます!

GOLD / LONELINESS FORECAST
初見の際は、このメッセージには実際に多くの人々の心を変える力があると確信し、一次選抜リストの1番目にこのチームを入れました。しかし、当初は過半数の審査員から問題解決との関連性がピンとこないという意見が出てしまっていました。リザルトが出せないアイデアコンペにおいて、特に本戦では、そういった意見が複数の審査員から出ると、結果が見えるアクチュアルな案に一気に票が流れ、順位をガクッと落としてしまいます。ロンリネスセールの存在感やアフターをもう少し出せていたら、その懸念は出てこなかったと思いますので、構成を工夫してみてください。二次審査の質疑応答でも、自分たちのアイデアの強みをよく理解されていて、別のお題でも再現力のあるチームに感じましたので、本戦でのご活躍も期待しております!

GOLD / MUSCLE VACCINE
セロトニンやテストステロンで孤独を感じさせないように肉体改造させる。なんともぶっとんだロジックで、いかにもヤングロータスみがありつつも、科学的かつ細かなところがアクチュアルでした。二次審査時にキャンペーンの始まり方がわかりづらかった点を小道具で強化してきてくださった点も、素晴らしかったです。リアル姉弟というチーム構成もチームとして華があり、プレゼンパフォーマンスにうまく活かせていてポテンシャルも感じました。ただ、「筋トレしよう!」と呼びかけるDMやアイコンを作るということしか施策自体の中身が詰められておらず、見方によっては「メンブレには筋トレ!筋肉は裏切らない!」というTwitter等でしばしばバズっている内容をキャンペーン化してみました!というところにとどまっているようにも見えてしまっていたことだけが惜しかったので、施策の中身も詰めることを意識するとより高みを目指せると思います。ご武運を!

SILVER / @GrandparentsOffice
アクチュアル系に票が流れれば本戦でも受賞可能性があり、なおかつ企画書の見せ方やロジックの作り方もお上手、しかも質疑応答も的確で、再現力の高そうなチームでした。二次審査で実際にAirBnBを楽しんでいるおばあちゃんの実例を出すことで、質疑応答で問われそうな老人デジタル無理説をあらかじめ覆してきていたのもさすがでした。今回は、異なる孤独を抱えたターゲット両サイドの、コロナ禍ならではの問題を解決するというスマートで即効性のあるアイデアでしたが、メッセージのある立体的なキャンペーンにできれば、既視感も拭え、さらに上にいけたと思います。部門によって、日本予選はこういうアイデアも勝ち筋だったりするので、このチームにはいずれ結果がついてくる気がしております!ファイトです!

BRONZE / CAT LETTER
フィジビリティーはさておき、保護猫と独居老人の双方を救うアイデアが素晴らしかったのですが、プレゼンで保護猫ではなくペットとして繁殖された猫を使うという話に変わっていたことで、順位を落とした結果となりました。犬ではなく猫を選んだ理由として繁殖力を挙げるために話を変えてプレゼンしたのかもしれませんが、欠点をカバーするためだとしても、少なくとも二次審査に上がれるくらい評価されていることが確実な企画の骨子にまで手を入れてしまうのは得策とはいえないかもしれません。二次審査のためのブラッシュアップは、一番大切な部分は変えずにその良さを活かす方向で行うと、もっと上を狙っていけると思います。(誤解だったらごめんなさい!) このチームもアイデアの見せ方が上手く、別のお題の企画もぜひ拝見したくなりました!

FINALIST / WHERE IS LONELY?
キャラクターによって強化されているもののキャラクターパワーに頼らずとも実現する、周りの人がターゲットという独自性を持ったシンプルなアイデアである点が評価ポイントでしたが、キャラクターが使えない場合には他の有名なキャラクターをアサインするなどの質疑応答の回答で、順位を落としてしまいました。コンペではアイデア自体が評価されるという点を念頭に置いて企画を練ると、もっと良い結果に近づけるかもしれません。応援しております!

審査員 電通 檀上 真里奈
審査員 檀上 真里奈電通

●全体講評
ヤングコンペの審査は一瞬で決まる。と過去の審査員から聞いたことがあります。それほど限られた時間で強いアイデアを出してプレゼンやボードにまとめることは難しく、うまくいくチームは一握りなのだと思います。でも今回のヤングスパイクスの審査は全く一瞬では終わらず、選ぶのが難しかったです。それぞれのチームに「孤独」の捉え方の違いがあり、「解決」の考え方も色々あり。人の心に関わることなので審査員も何が正解かわからない、難しくも面白い課題でした。それでも選ばれたチームのアイデアやプレゼンはそれぞれ光るものがあって素晴らしかったです。みなさまお疲れ様でした。

●天気予報
孤独を感じてしまうのは自分のせいではなくて天気のせいだ。と教えてくれる優しいアイデアで個人的にとても好きでした。街中でこの天気予報を見つけたらすこし心が慰められそうで、そのささやかな感じがリアルでよかったです。このチームはリモートの画面を天気予報番組の画面に見立ててプレゼンをしていたのも印象的でした。プレゼンの面白演出が必ずしも加点につながるわけではないと思いますが、リモートの不利な状況を逆手にとって聞く人の心を掴もうとする姿勢が心強いと思いました。テレビとOOHと店頭のアイデアが面白いので、さらにこの企画が広がっていくイメージを膨らませて伝えられると強いと思います。ゴールドおめでとうございます!

●筋肉
筋トレすれば心が強くなって孤独が解消されるという図式が、最初は机上の空論なのではと思ってしまったのですが(すみません)、このチームはプレゼンのQ&Aがとても上手でした。筋トレが嫌いな人のモチベーション設計、キャンペーンとの出会い方など、審査員からの質問の意図を汲み取ってその場でアイデアをどんどん追加できるところが素晴らしかったです。本番で資料を作るときも客観視する時間を設けて、初見で理解できるか、ツッコミどころはないかの見直しをすると良いと思いました。ゴールドおめでとうございます!

●マッチング
リモートワークの孤独と一人暮らしのお年寄りの孤独を一気に解決できるアイデア、なるほどと思いました。このチームは前段からアイデア・エグゼキューションまでのストーリーがしっかりつくられていて、納得感のあるプレゼンが素晴らしかったです。ただ若者とお年寄りのマッチングサービスの既視感がどうしても拭えず、アイデアの切り口の鮮やかさという点でゴールドと少しだけ差がついてしまったのだと思います。資料のつくり方もQ&Aのやりとりも本当に上手で惜しかったです。お疲れ様でした!

●猫
猫からくる手紙のイメージ画像が本当に可愛かったです。震える線で頑張って書いたような文字に猫の健気さを感じました。アイデアコンペではこういった強い一枚絵があるチームが有利だと思います。これを見ただけでアイデアの理解度がぐっと上がり、思わず好きになってしまう力がありました。ただ、インテグレーテッドという視点から考えるとキャンペーンを豊かに見せるアイデアが不足していたので、エントリーする部門の視点からもう一度アイデアを見直す時間を挟むと良いのではと思いました。お疲れ様でした!

●ウォーリー
孤独を抱える人自身にアプローチするアイデアが多い中、このチームは周囲の人たちに孤独な人の特徴を教育するという考え方が独特でした。確かに、心が沈んでいる人にとってはささいなことでも行動するのは大変で、周囲の元気な人が気づいて力になることの方が重要かもしれないと気付かされました。ただ、こういった子供への教育を解決策にするタイプのアイデアはどうしてもその人が育つまで何年もかかるので「解決に時間がかかりそうなアイデア」と見られてしまう弱点があると思います。プレゼンの時に着ていたウォーリーのコスチュームがとても可愛かったです。

審査員 ADKクリエイティブ・ワン / FACT 三寺 雅人
審査員 三寺 雅人FACT

■全体総括
実は、僕が28歳の時、初めてヤングカンヌの日本代表選考が始まりました。当時は一枚絵に英語のコピーの勝負、オリエンを受けてから24時間で提出。会社で缶詰、意識朦朧としながら、アイデアを何周もしたのを覚えています。全然ダメでしたけどねw今回、初めてヤングの審査、しかもインテグレートというカテゴリーを担当し、参加したみなさんのレベルと志の高さに感銘を受けました。まずは、忙しい中参加したみなさんの熱意と行動力に拍手を送りたいと思います。 さて、今回の課題の「孤独問題」は、ターゲットをどこに設定するかで大きくアイデアが変わるお題でした。どこまで風呂敷を拡げるか。狭すぎてもニッチすぎて課題解決に直結しませんからね。まずいくつかの前段で共通だったのが「孤独な人を見つけること自体が難しい」ということ。その通りで、その人々にどうやって直接アプローチできるか、心を動かせるかが腕の見せ所でした。その本質的な課題解決に至らず、単なるPRネタにとどまってしまっているアイデアや、他の社会問題と掛け合わせた結果、どちらも解決できていないような空中分解しているアイデアもありました。また、未来への予防という視点で、現在孤独を抱えている人を救うという直近の課題に答えていないケースもありました。そんななかで、本質的にこの問題を解決できる、強いアイデアを選んでいきました。

■ゴールド LONELINESS FORECAST
まず「孤独予報」というシンプルで太いアイデアは強いと思いました。企画書も、見ているだけで内容が入ってくる見せ方(アートディレクション)になっていて良かった!企画は、天気と孤独を重ねて世の中に孤独問題を見える化するというもの。正直、最初はとても安易だなと思った。まあ、雨の日は誰だって憂鬱になるし・・・でも、審査員たちと議論を重ねる上で、孤独問題を一人で苦しまない(だって、天気と同じようなものだから)という雰囲気づくりをするという視点は確かに効果あるかもと思うようになリました。個人的にはこのキャンペーンによって実際に孤独な人が○%減ったなど、ニュースフォーマットを活用して問題が解決していく様を継続的に可視化していく施策もあっていいかなと思ったけれども。プレゼンはオンラインを活かした演出で、笑いあり、納得あり、パーフェクト!本番でもみんなを楽しませて引き込んで欲しいです。ちなみにMrロンリーがルンペンっぽかったのはどういう意図だったのでしょうか、夢に出ますw

■ゴールド MUSCLE VACCINE
筋トレをすることでテストステロンとセロトニンが分泌され前向きになり不安が解消されることに着目。まさに孤独へのワクチンであると。筋トレをすることで自信が生まれ孤独と無縁になる。いやー大胆すぎる発想ですね。最初に企画を見たときに爆笑しました。クレイジー!でも、実は人間の本質をついたアイデアだと思いました。孤独という深刻な問題と楽しく(自分にもメリットだらけ)向き合うことを進めていく視点は、世の中に拡散していきそうですよね。しかしちょっと勿体無いところも。「マッスルワクチン」という強いタイトルがありながら、表現であまりワクチンを活用できていないのと、具体案(例えば面白い筋トレのメニューとか)の提示がなかった。これによって審査員の中には、このキャンペーンの温度感が伝わらず、僕が感じた楽しく孤独問題を解決していく、という感覚が十分に伝わりきりませんでした。本戦では、ぜひその辺の表現部分を強化して臨んでください。兄弟の息のあった掛け合いプレゼンで、見せつけてください! 

■シルバー Grandparents Office
多くの人がコロナでリモートになり孤独を感じている。同じように一人暮らしの高齢者が増えている。そこで双方をくっつけて孤独を物理的に解消し、社会や人とのつながりを感じることができるサービスを始めるというもの。正しい、実に正しい真っ当なアイデアだと思います。ワールドビジネスサテライトで特集されますね。でも、正しいんだけど、面白みとかユニークさが足りない。ここがゴールドとの差だと思います。内容は同じでも、タイトルをもう少しユニークなワードにしてみるとか、資料の見せ方を面白くしてみるとか、プレゼン自体すごく美しい英語で完璧でしたが、やっぱりこちらをクスリとさせたり、引き込むちょっとした演出があっても良かったのかなと思います。

■ブロンズ CAT LETTER
多くの人はパートナーと生き別れた時に深刻な孤独に苛まれるが、猫を飼うことは、そんな孤独を和らげる効果がある。しかも、殺処分されている猫の数と孤独死をしている人の数がほぼ同じ。という隠れた強い事実を見つけ出し、この2つをくっつけて孤独問題を物理的に解決するというアイデア。このアイデアを見たとき、着眼点と事実の深掘りに脱帽でした。僕の中では一次審査、圧倒的にこのアイデアが一番でした。それだけに、プレゼンテーション、それだけに、質疑応答が・・・そのクオリティに足りていなかったのが悔やまれます。このコンペ、最後はプレで決まりますからね。今日から英語で過ごしましょう。ぜひ次回はプレゼン力を高めてリベンジを!!

■ファイナリスト WHERE’S LONELY?
孤独な人を見つけるのは難しい。だから小さい頃の教育から孤独について考えさせる・・・まず、この時点で今孤独を感じている人をどう救うのか?問題の本質的な解決策があるのか疑問に思った。誰もが知っている「ウォーリーを探せ」とタイアップして、孤独な人を見つけるというアイデアはエンターテインメントとして面白いし、孤独問題を身近にしていけるだろうと思ったが、やはり上記の今孤独な人たちにとって何の解決策になっているのかが、最後までわからなかった。質疑応答などでもその辺をしっかり答えられれば、評価は変わっていたかもしれません。ただ、ウォーリーに扮して画面越しに現れた時はワクワクしましたよ!もっと恥を捨てて、なり切ってやっちゃいましょう!