Session memo-President Briefing

カテゴリーについているメモに関しては、クリエイティブ・ディレクター石井うさぎさん、弊社内の有志の協力によって作成いたしました。ご視聴の際に参考になれば幸いです。
Day 3に関しては「Activism day」とテーマ付けされており、様々なアクションについて取り上げられています。 リンク先は外部サイトに移動します。

①Day 1

Creative Business Transformation Lions – Isobar’s Ronald Ng
Talent: Ronald Ng, Simon Cook
Category: Presidents’ Briefings 
時間:20分

日本事務局コラム: https://www.canneslionsjapan.com/column/lions-live/20_07_10
カンヌライオンズのアワード審査は、審査委員長のブリーフィングによってはじめられる。
普段は公開されないが、今回は特別に、LIONS Live期間中にカンヌライオンズのマネージング・ディレクターのサイモン・クックによる各審査委員長に対してのインタビュー形式。

― この部門が、今、誕生した理由は何だろう?

まさしく、ニーズから誕生した。クライアントのビジネスは近年インダストリーシフトが起こっている。想定外の競合や半年前まではなかった会社がスタートアップとして生まれている、そんな状態。さらに今、新型コロナによってこれまで経験したことがないスピードでビジネス上のチャレンジを求められている。
Transformation(変革) はすべてのクライアントが早急に考え、行動する必要があると言える。変革するのか、それとも退場するのか、といった状態だ。
企業のTransformation(変革)に光を当てることができる部門になり、受賞作品に選ばれる作品は他社のベンチマークになるだろう。

 

― 審査基準は?

まず審査員たちには、「Does this unstatus-quo everything?(現状をすべて変革させるようなものであったか?)」と問いたい。どのような影響を人々の生活に与えたかを評価したい。
この危機の影響で「ビジネスの変革」が必須になっている。想像してみよう。ワシントンポストみたいな新聞の今後の大きな見出しになるようなことってなんだろう、と。
クリエイティビティは新たな収益を生み出すことができるはずだ。
ChangeではなくTransformation 、「変化」ではなく「変革」、それこそが今、必要だ。

 

― 過去の他部門受賞作品から、この部門の例となり得る取り組みを見てみよう。

KFC Pocket Store(中国)作品ビデオ:

2019年カンヌライオンズCreative eCommerce部門で金賞受賞したKFC中国のクリスマス・ポケット・ストアのケース。チキンを売る会社からデジタルの会社に変革を遂げたと言える。
(※中国で最も使われているSNS WeChatを使用したプロモーション。アプリ上で自分のKFCストアを開くことができる。
友達から自分のお店を通してオーダーしてもらえると、無料コーヒー券などが手に入り、友達も割引メリットがある。
これにより1日で56万件のポケットストアがオープンし、売り上げも急増した。
Brand Commerce ⇒ Me Commerceへ変えたキャンペーン)

Today at APPLE  作品ビデオ:

2018年Brand Experience & Activation 部門でグランプリを受賞。
(※Apple Storeを店舗ではなく、1つの商品と位置づけユーザー同士のエデュケーションハブにしようという取り組み。Apple製品を使用した様々なセッションが全世界で開催された。アップル製品が顧客のクリエイティビティを発揮するために良いインパクトを与えるか示した。)

② Day 2

Titanium Lions – FCB’s Susan Credle
Talent: Susan Credle, Simon Cook
Category: Presidents’ Briefings
時間:20分

この業界を前に押し進めるために生まれたチタニウムライオン部門の審査員長、Susan Credleさんのコメント。来年の審査に向けての展望を語った。
2003年のBMWのキャンペーン(BMW Films – Star – Director: Guy Ritchie)が審査されるべき部門が見つからなかったために生まれた部門でもある。

この業界が前進するための可能性をひめたエントリーだった。
新たな得意先の課題に対して、もはやみんなが知っているような「広告」という形をとっていなかったが未来を見せてくれた。
今年の審査員がもし集まっていたらなんと伝えたか?
去年のチタニウム部門のライオンを見ると「heart couture」(オートチュールをもじって心に届くカスタム仕立て)ときちっとビジネス上の結果を出しているものだった。2年後に業界を引っ張ってくれるようなエントリーを選びたい。
クリエイティブが大事だ、大事だとみんな話すが、やはりビジネスに直接結果をもたらすことが伝わらないとダメな時代だ。
経済面でクライアントのビジネスに「かけ算」をしながら、大きくしていくことが必須。
例えば、去年の、Burger KingのWhopper Detourの「寄り道キャンペーンはビジネス面でも大きく貢献した。

一般的になかなかダウンロードされにくいアプリを「(競合の)マクドナルドに寄るとワッパーが1セント」とうたい盛り上げた。
来年は2年分のエントリーを審査することになる。通常時のクリエイティブから人種差別や不況、危機といった新たなクリエイティブまで幅広いエントリーになるはずだ。実は危機関連のエントリーは受け付けるべきだろうか?などといったことも検討しているが、まだ決まっていない。
来年のカンヌの舞台で結果発表をした後のことを、今から思い浮かべて感じることは、この課題だらけの世界で、誰もが良い結果を導き、経済を継続させ、業界を前進させたようはライオン作品をみて勇気を持ってもらうこと。

③ Day 3

Creative Effectiveness Lions – Pernod Ricard’s Ann Mukherjee
Talent: Ann Mukherjee, Simon Cook
Category: Presidents’ Briefings
時間:20分

2011年にできた部門なので、2021年でちょうど10年を迎える部門。
審査については、クリエイティブとエフェクティブネスの二つを丁寧にみていくことになるだろう。まず一番に見るのはROI(投資利益率)がどうなっているのか。ビジネス上の課題をきちんと解決しているのか?そして、そこから実際のクリエイティビティをみていくことになる。
大事なのは Mirror Creativityではなく、Magnet Creativity
つまり、何かを映し出すクリエイティブではなく、磁石のように引きつけるクリエイティブ。
ブランドのROIを説明できないなら、この部門に応募する意味はない。ビジネスをきちんとドライブできないならダメだ。
審査の際は「課題が何だったのか?」「どう計測したのか」「見事に課題解決したクリエイティビティ」を評価する。
このクリエイティブ・エフェクティブネスという部門のエントリーは前年に少なくともショートリストに選ばれていないと応募できない。
「短期的なコストカットはブランドにとってよくない。長期的視点が必須だ」というPeter Field氏が発表した調査についてはその通りだと思う。単純に流行っていることを表層的に追いかけるのではだめだ。ブランドが時代を超えて「なぜ存在するのか」を体現しない限りだめだ。
個人的に素晴らしいと思う去年のケースはAriel(洗剤)キャンペーン。女性だけが洗濯をするものという概念を打ち壊した。洋服についている洗濯タブのデザインを模して「男女どちらも洗濯可能」というデザインを追加。ROIの数字も素晴らしい。

④ Day 4

Outdoor Lions – AlmapBBDO’s Luiz Sanches
Talent: Luiz Sanches, Simon Cook
Category: Presidents’ Briefings
時間:20分

この3ヶ月で世界は相当変わった。今、ヒューマン・コネクションにみんな飢えている。審査員には「ヒューマンな広告、人と人の間の対話を生み出すような、温かみのある広告を選ぼう」と伝えただろう。
人の心に触れるヒューマンな広告の例としては、去年のNIKIのDream Crazyだ。
このアウトドア広告は人々の会話、対話を産んだ。
Fearless Girlキャンペーンも素晴らしいアウトドア広告。男性社会であるウオール街で胸を張っている女の子の彫刻。国際女性デーのために置かれたが、ずっと置かれていた。女性の活躍する企業の成績が安定していることから、ある金融会社がそれら企業株を集めたファンドを立ち上げ、そのPRを行った。

世界にFun(楽しさ)を。大変な時代だが、人に笑顔をもたらす表現が必要だ。もっとみんなには笑顔が必要だ。
例えば、ビール会社のキャンペーンで、ビールをもっともっと飲んでくれ!と世界に呼び掛けた。ビールを生産した後のカスから燃料を生み出し、給油所も建てた。ビールを飲みに行く男性が「世界を救ってくる!」と堂々と出かけていく。
こういうキャンペーンは、皆が笑顔になるよね。

来年審査するとしたら、ロジカルさより「エモーショナルさ」が大事にされていて、クラフト(表現定着)がしっかりしているエントリーに注目したい。そしてシンプリシティーだ。テクノロジー単体よりも、それをどう使うかアイデアが何より大事。今はテクノロジーに溢れているからこそね。この業界全体をインスパイアしていくような広告にカンヌで、来年出合いたいと思っている。

⑤ Day 5

Film Lions – adam&eveDDB’s Richard Brim
Talent: Richard Brim, Simon Cook
Category: Presidents’ Briefings
時間:20分

日本事務局コラム:https://www.canneslionsjapan.com/column/lions-live/20_07_13

今、恐ろしいほどの量の情報が自分たちを取り巻いているが、審査基準は「①そういった中でもわざわざ時間をとって見たいと思うか、②どれほどを捉えるか、③どれほどその後もずっと人の口の端に上がるか」だ。
撮影が延期されたり、制限が多くあった。だから、できることからみんな始めた。そして「ブランドや企業が立ち上がり、生活者、社会のためにいる」ことを伝える広告が多かった。でもこれから更にいい仕事をしよう。アイデア次第だ。
クリエイティビティを止めてはいけない。2016 年のグランプリ、デパートのハービーニコルズの動画広告もセキュリティカメラの映像とイラストで仕上げている。
別に大きな予算が必須ということでもない。アイデア次第だ。

Love freebies? Get them legally. Rewards by Harvey Nichols

幅広い手口のエントリーが集まるといいな。様々なことがあった2年分のエントリーだからこそ。
フィルム部門の審査はマラソンだ。1週間ずっと審査する必要がある。そして来年は2年分のエントリーになる。でも以前審査した時も最後の方になればなるほどいい仕事が見えてくる。クリエイティビティは常に進化するものだ。パンデミックの影響で、人々の「感受性」がかわり、尖ったはずだ。その影響は(エントリーに)あるかもしれない。
2008年の不況時、「ゴリラ」を起用したチョコレートのCMががグランプリを取った
一見「ナンセンス?!」と思ったけど、もっと見たくなる Joyfulなもの。

Cadbury’s Gorilla Advert Aug 31st 2007

2020、2021年はパンデミック、政治で大変な時期だが、だからこそクリエイティビティが力を待っている。パンデミックは世界中の誰にも影響を及ぼした。審査員も全員なんらかの影響を受けているはずだ。パンデミックを扱ったエントリーだからと言って、前出の基準がクリアできていなければいけない、特別視はしない。

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