Creative Business Transformation部門 紹介コラム

カンヌライオンズのアワード審査は、審査委員長のブリーフィングによってはじめられる。通常公開されないが、今回は特別に、LIONS Live期間中にカンヌライオンズのマネージング・ディレクターのサイモン・クックによる各審査委員長に対してのインタビュー形式で、その裏側を知ることができた。

LIONS Live Day1では、2020年から新設されたCreative Business Transformation部門のブリーフィングが行われた。来年のカンヌで、2020年、2021年の2年分が審査される予定だ。この新部門を理解するため、ロナルド・イング審査員長の言葉をシナモンAI取締役会長の加治慶光さんと一緒に振り返った。

―この部門が、今、誕生した理由は何だろう?

まさしく、ニーズから誕生した。クライアントのビジネスは近年インダストリーシフトが起こっている。想定外の競合や半年前まではなかった会社がスタートアップとして生まれている、そんな状態。さらに今、新型コロナによってこれまで経験したことがないスピードでビジネス上のチャレンジを求められている。
Transformation(変革) はすべてのクライアントが早急に考え、行動する必要があると言える。変革するのか、それとも退場するのか、といった状態だ。
例えばLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、香水の製造ラインで消毒剤をつくり雇用を維持している。すでにこの危機に対応して企業が変革している。
この部門は、企業のTransformation(変革)に光を当てることができる部門になるだろう。受賞作品に選ばれる作品は他社のベンチマークになりうる。ここから学び、自分自身のブランドの変革していってほしい。

(加治)
これは、「クリエイティビティの拡張」の意志の表れだと感じます。クリエティティビティの世界的祭典であるカンヌライオンズはアワードのラインナップを拡充することによって成長・変遷を遂げてきました。この部門の創設はクリエイティビティがビジネスそのものをも変革しうる、という野心的な宣言でもあると思います。

 

― 審査基準は?

Trasformation はchange of status-quo(現状を変えること)である。
まず審査員たちには、「Does this unstatus-quo everything?」という質問をしたい。
これは、「現状をすべて変革させるようなものであったか?」という意味だ。
どのような影響を人々の生活に与えたかを評価したい。

(加治)
もともと政治用語で「現状維持」を意味する「Status-quo」。現状維持を否定することを「Unstatus-quo」という言葉を使って、現状維持を否定し、うまくこの部門の源泉になる問いかけを作っていますね。
例えば、最近よく耳にする「デザイン・シンキング」。これも、もともとの発想は組織のデザイン、課題に対峙する考え方をデザインすることからスタートしていますが、最近はビジネス・トランスフォーメーションの文脈で利用されています。
これまで、広告表現で利用されていた「クリエイティビティ」を、ビジネスそのものを変革させるために利用することが改めて示されていると感じました。

 

― 過去の他部門受賞作品から、この部門の例となり得る取り組みを見てみよう。

  •  KFC Pocket Store(中国)

作品ビデオ:

 

2019年カンヌライオンズCreative eCommerce部門で金賞受賞したKFC中国のクリスマス・ポケット・ストアのケース。
チキンを売る会社からデジタルの会社に変革を遂げたと言える。
(※中国で最も使われているSNS WeChatを使用したプロモーション。アプリ上で自分のKFCストアを開くことができる。友達から自分のお店を通してオーダーしてもらえると、無料コーヒー券などが手に入り、友達も割引メリットがある。これにより1日で56万件のポケットストアがオープンし、売り上げも急増した。Brand Commerce ⇒ Me Commerceへと変えたキャンペーン)

 

  • Today at APPLE

作品ビデオ:

2018年Brand Experience & Activation 部門でグランプリを受賞。
Apple Storeを店舗ではなく、1つの商品と位置づけユーザー同士のエデュケーションハブにしようという取り組み。Apple製品を使用した様々なセッションが全世界で開催された。Apple製品が顧客のクリエイティビティを発揮するために良いインパクトを与えるか示した。
この危機の影響で「ビジネスの変革」が必須になっている。想像してみよう。ワシントンポストみたいな新聞の今後の大きな見出しになるようなことってなんだろう、と。
クリエイティビティは新たな収益を生み出すことができるはずだ。
ChangeではなくTransformation 、「変化」ではなく「変革」、それこそが今、必要だ。

(加治)
この2例をみると、斬新な事例というよりOMOやPESOの時代のマーケティングのメインストリームが評価対象になるように感じました。
来年、どのような作品が見られるのか大変興味深いです。

※2021年のカンヌライオンズにて、2020年/2021年の2年分の作品がそれぞれ評価されます。

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