2023.4.11 share

Q1審査を通して得た気づき

今年のBrand Experience & Activation部門は、カンヌライオンズと同様に、ブランドと社会の接点を見つけ、クリエイティブな体験で人々の共感と行動を起こす事例が多く見られました。APACのローカルカルチャーに寄り添いながらもさまざまな課題に取り組み、ブランドとコミュニティの双方が成長するものが賞をとっています。

2023年らしく、最新テクノロジーを使ったものも多く応募されていましたが、AIやメタバース、NFTなどを表面的に用いるだけでは意味がなく、技術を深く理解した上でシンプルに取り入れている事例のほうが印象的でした。

また、強いクリエイティビティを、マーケティングコミュニケーションだけでなく、プロダクトやサービス、企業活動に組み込む事例も多く見られました。そのためには、早いステージからクライアント企業や政府を巻き込む必要がありますね。

Creative Commerce部門はまだ応募が多くなく、今後チャンスがある部門だと思います。単なる集客や販売効率をあげるためだけでなく、人々の暮らしの根幹の部分にきちんと投資をして、一人ひとりに機会を生み出すコマースや、地域の文化に根付いたコマースの事例が目立っていました。

カルチャーが多様で、課題も多様なAPACは、今後もユニークなクリエイティビティが生まれやすい場所だなと実感した審査でした!

Q2審査の中で印象に残った施策



①UNBRANDED MENU(Brand Experience & Activation – Grand Prix)

ゲーミング世代のインサイトを掴んだ事例です。マクドナルドが長年かけて創ってきたバーガーやポテトなどの「アイコン」が、ゲームの世界に勝手に広がっています。今回マクドナルドはそれらを「収穫」しているだけなのです。テクノロジーを無駄遣いしない、こういうシンプルなアイデアこそ、本来のクリエイティビティなのだと思います。



②CORONA EXTRA LIME(Creative Commerce – Grand Prix)

コロナとライムの長年の関係を利用して、ライムの価値を高めた事例です。オンラインおよびオフラインで、コロナもライムも売れました。中国の農家の課題に向き合い、農家の方々の新しい収益源を作り出しました。一発アイデアだけでできるものではなく、この実現には大変な労力と時間が費やされています。



③IF YOU SEEK CAMPAIGN(Integrated – Grand Prix / Brand Experience & Activation – Silver)

パンデミック後の旅行キャンペーンのなかで最も気持ちが揺さぶられる、とてもクオリティの高いインテグレーテッドな事例です。情報があふれ、表面的な「映え」ばかり求められる時代において、あえて、見せない。あえて、手間をかけさせる。本当に探し出したい人、文化や自然に深く関わりたい人だけに与えられる。またNZに行きたくなりました。