2025.4.30 share

Q1審査を通して得た気づき

Creative Data部門

データは使いこなすものですが、いつの間にかデータの奴隷になっていないでしょうか? 調査、ABテスト、ターゲティング…便利なはずのデータが、クリエイティビティを制約することもあります。今回受賞した仕事に共通していたのは、データをただ正しく使うのではなく、勇敢に、そしてワクワクする方法で活用していた点でした。

Innovation部門

イノベーションとは、世界を「後戻りできない場所」へと進める発明です。もしiPhoneがエントリーされたら? そんな仮説をもとに、私たちは議論を重ねました。重要なのは、単なるプロダクトの革新ではなく、それが「Creative Innovation」として評価されるべきかどうか。受賞した仕事に共通していたのは、短期的な話題性だけではなく、業界全体の変化を生み出す可能性を持っていた点でした。

2つの部門を通じて、“ロジック”を超えた“マジック”のような仕事に出会えました。そして審査終盤には、「人を幸せにする仕事」と「動物を幸せにする仕事」の二つが残り、「今年のテーマはHumanとAnimalだね」なんて、ユニークな議論が交わされたのは、ここだけの話です。

Q2審査の中で印象に残った施策作品名とその印象について。

①TURF FINDER

世界一の密集都市・ムンバイにはスポーツできる場所がないという課題に対して、ゲーターレードが過去20年分の交通データを解析して、人や車の往来がなくなる時間とスポットを見つけ出して、ゲリラ的にテニスやバスケ、クリケットなどのスポーツコートを作り、一般市民に開放した事例。発想力と実装力の掛け算、すべてがワールドクラス。何よりも凄いのは、政府からの支援を受けて、今も月に2回実施しているとのこと!

②Enjoy the Smoothness

口元が滑らかなHeinekenの新商品をプロモーションするために、サッカーの試合でゴールを決めた時に選手がするパフォーマンスで滑った距離をリアルタイムに算出して、滑った距離に応じて割引クーポンを生成した事例。データの使い方ひとつで、エンターテイメントを生み出している。サッカー観戦の相棒であるビールらしいコミュニケーションもGood。

③Certified Toasters

焼き加減が“超”難しいVogel(穀物パン)を正しく・美味しく食べられるように、すべてのトースターを手作業でテストして、各トースターの最適なVogelのトースト時間を算出した事例。NO AI, NO Tracking, No Technology, No GPS, No Appsにも関わらず、最もフィジカルで、最もフェティッシュなやり方でデータクリエイティブした点が大好きでした。