
Q1審査を通して得た気づき
2025年SPIKES ASIA のDIRECT/OUTDOORの審査は、APACクリエイティブの熱さを直に感じられた3日間となった。DIRECTとは何か。その問いが折に触れ、議論の中で繰り返される。クライアント、そして、世の中の課題に応える仕事に枠はないけれど、AWARDはカテゴリーに選ばなければならない。
だからこそ、これが2025年のDIRECT/OUTDOORの好事例であることを選んで世に示すのが審査員の仕事なのだろう、と定義書の行間を見ながら思う。生活者との接点があれば、それはもうDIRECT。外にあればOUTDOOR。コロナ禍を経て、人間も、ブランドも、リアルコンタクトを尊ぶ流れが来ている。そのことは、この2カテゴリーへの出品の多さから見て取れる。その時、その場所にあるから感動する。おもしろい。
「そんな深刻な顔しないでさ、たのしもうよ」と事あるごとに声をかけてくれたJURY PRESIDENTのRONNIE氏に感謝。審査員同士、まったく異なるバックグラウンドから出る意見にも新たな視座を見ることができた。
Q2審査の中で印象に残った施策作品名とその印象について。
①Original Mouthful(McDonald’s)
ある年齢以上の国民全員が歌えちゃう商品広告ど真ん中BigMacの特徴まんまのコマソン。それをついやってみたくなる早口言葉チャレンジにしたことで、「マネをしておもしろがる」カルチャーを刺激することに成功し、「世代間をつなぐ」というブランドの価値を発揮したのは見事。日本に帰国してBigMacを久しぶりに食べました。
②Adoptable(Pedigree)
実は審査の過程で最も時間を割いて話し合ったもの。
カンヌの受賞実績もある。
ひとつの命を預かる活動を、保護犬を「美化」することでやりやすくすることの是非。
それでも、活動の入り口としての役割は果たしている。
AI、GEO-Targeting、デジタルサイネージを連携させ、このテーマでやり遂げたのはすごいな、と感動した。
③Yoga Village(Adidas)
オンライン審査のときから、とにかく大好き。
「YOGAはスポーツじゃなくて生き方なんだ」と主張した審査員は、「これはまさに、そのことを言わんとしているのではないですか?」という意見にハッとしたようだった。いろんな国の審査員で意見を交わすのはおもしろい。
テーマに関心があるほど疑問も。互いの意見を真摯に受け止めつつ、考えつづけることに没頭できたしあわせな審査だった。