2026.4.1 share

Q1 審査を通して得た気づき

ヘルスケア部門に集まる事例は、薬機法や施策実施範囲に関する厳格な規制のもとにあるため、
他部門と比較してクリエイティビティを大胆に飛躍させることが簡単ではありません。
人々の健康や人生そのものに深く関わる領域である以上、誇張を慎み、課題に真摯に向き合う姿勢が求められます。
かといって、今年のヘルスケア部門に集った事例のすべてが、シリアスな空気をまとっていたわけではありません。
解決すべき課題は重くとも、その解決に向けたアイデアは、軽やかで希望に満ちたものがいくつもありました。
苦しい状況に置かれた人々へ差し伸べる手として、美しく強靭なアイデアを形にしたクリエイター達に対し、
私を含む審査員全員が深い敬意を抱きながら、活発な議論を重ねました。

Q2 審査の中で印象に残った施策作品名とその印象について。

まず、今年のSpikes Asia 2026では圧倒的にインド勢の作品が目立っていました。これはどのカテゴリーや作品を見ても圧倒的な結果でした。インドのLeo Burnett India は APACCreative Agency of the Year 合計13作品で受賞し、そのうちグランプリは3作品ありました。

①DawAI Reader / Alkem Laboratories (Gold)

医師による手書きの処方箋を薬剤師が読み違えることで発生する調剤ミスは、患者にとって命に関わるリスクとなります。DawAI Readerは、10万枚以上の実際の処方箋を学習したカスタムAIで、あらゆる手書きの処方箋を正確に読み取るツール。患者の命のみならず、リソース不足と過度な負担に晒されていた薬剤師をも守る、シンプルかつ卓越した事例です。


②Eye Test / 1001 Optometry (Silver)

視力が良い人にはオシャレなメガネのスタイルが見え、そうでない人には「Eye Test (視力検査)」というメッセージが見えます。 「もし見えたら (視力検査が) 必要です」という、とても端的でチャーミングなコミュニケーションです。


③Renu vs the City / St.Jude India Childcare Centres (Silver)

無料のがん治療を受けるために大都市の路上で暮らさざるを得ない家族がいるという過酷な現実が、まるで自分もその場所にいるかのように錯覚するほどの没入感があるワンショットで描かれています。人の心を強く動かし行動を喚起する映像演出のプリミティブな力を、あらためて感じました。