2020.7.20 share
カテゴリーについているメモに関しては、クリエイティブ・ディレクター石井うさぎさん、弊社内の有志の協力によって作成いたしました。ご視聴の際に参考になれば幸いです。
Day 3に関しては「Activism day」とテーマ付けされており、様々なアクションについて取り上げられています。

リンク先は外部サイトに移動します。

①Day 1

CMOs in the Spotlight: Leanne Cutts, HSBC
Talent: Leanne Cutts, Dana Anderson
Category: CMOs in the Spotlight, sponsored by The Economist
時間:25分
HSBC のCMO、新たなブランド・アイデンティティーを担当。
https://t.co/4SHZxVMmwc?amp=1

マーケティングは組織の中で非常に重要な役割を果たし、変革を主導することができる。コロナ禍においても、HSBCは多様な顧客ニーズに応えるため、後述のフレームワーク「3つのR」など社内で改革をおこなった。いま、マーケティング担当者としての今後を見つめなおすことが求められている。
今回の危機は社会全体に大きな影響を及ぼしているが、誰にとっても同等ということではない。人によって大変さが違う。リモートでの働き方もそれぞれに変わった。
この危機からのリカバリーを考え、ちゃんとタンクに燃料が入っているように気にしながら前進できるようにペース配分も検討した。

変革に必要な3つのこと
(1)絶対に守り抜きべきものと、変革していいものがそれぞれ何かを考える事
(2)地域の文化に目を向け、声に耳を傾けること
(3)常に優先順位を考える事

フレームワーク「3つのR」
React(反応する)、Respond(対応する)、Rebuild(再建・再構築する)
を意識している。このフレームワークを用いることで、顧客の多様な状況に対応する際に社員が一定の道筋を立てることができるようになった。社内でも「今、この3つのRのうち、どの段階の業務をしているのか」を考え共有するようになった。

マーケティングの役割
マーケティングは、「顧客インサイトの発掘→独自のブランドアセットの活用→ビジネスの成長」という、非常に重要な3つの役割を果たす。これにより、企業は顧客ニーズにあった新製品を開発したり、サービスを展開することができる。コロナは、人に「リセット」する時間(Reset moment)をもたらした。この時間はマーケティングの強みをより効果的に発揮し、企業に一層貢献できるようにするために今後どう対応するべきなのか、ということを考え直すいい機会である。

②Day 2

CMOs in the Spotlight: Asim Naseer, Beiersdorf
Talent: Asim Naseer, Dana Anderson
Category: CMOs in the Spotlight, sponsored by The Economist
時間:25分
ドイツの化粧品メーカー、バイヤスドルフのCMO、Asim Naseerが登場。
(※日本でも有名な「ニベア」「8×4」を生んだ会社。)

1911年にたちあがったニベア。青い缶は少したった1920年代に生まれた。缶のデザインは、当時ヨーロッパで流行していたバウハウスの影響を受けたシンプルなデザイン。
以来大きくデザイン変更は行っておらず、これはニベアブランドのシンプルさと一貫性が表れている。
企業はミッションによって導かれており、企業がもつコアバリューによってビジネスの道筋が示されている。
バイヤスドルフの場合は「Care(配慮)、Courage(挑戦)、Simplicity(シンプルさ)、Trust(信頼)」である。

愛されるブランドは、下記の要素が重要
(1)「生活者こそが主人公」だと理解し、戦略性が高いイノベーションを生活者に提供できるブランドのこと
(2) クリエイティビティとストーリーテリング
(3) 信頼を持ち合わせているブランド
今回の危機を体験して、もはや今後なにがあっても驚くこともないだろうと思ったほどだ。健康、安全に対しての意識が決定的に変わったと言える。そして人が人のことを考え、動いたことに心を動かされた。今後、イノベーション、規制に対する知識と対応力、パッケージや商品の安全性・透明性がビジネスの重要な柱になってくる。
#ShareTheCareキャンペーンを実施。

CMOの個人としての目標としては、
(1)能力開発(Capability building)組織や社員が目標を達成するために必要な能力を向上させること
(2)情報発信(Communication) 2019年に広告会社との関係モデルを刷新。広告会社には従来の広告出稿に関することだけではなく、ビジネスを俯瞰した取り組みを連携して行う、ビジネスパートナーとしての役割を求めた。データ、テクノロジー、クリエイティビティを重視した戦略的な取り組みに力を入れる。
(3)戦略的革新(Strategic innovation
(4)サステナビリティ(Sustainability

「パフォーマンスマーケティング」と「クリエイティブマーケティング」のどちらを優先するべきか、という問いに対しては、「両者のバランスを保つことが重要」と考えている。
特に、 クリエイティビティには大きな力がある。クリエイティブなアイデアは物事に非常に大きな変化をもたらす 。そして、 現代の人々はブランドに対して「リアルなストーリー」を求めている 。 その「リアルなストーリー」を生み出し効果的に伝えるためには、クリエイティビティの力が不可欠だ。

ニベアで達成したいこととしては、これまでニベアブランドが築き上げてきたものを未来に残すこと。 この目標を達成するためにはミレニアル世代、Y・Z世代にニベアブランドをより身近に感じてもらう必要がある。したがって、これらの世代グループがどのようなモノを好み、支持するのか、その価値観を見極めて彼らに寄り添うような存在を目指すつもりだ。

③Day 2

CMOs in the Spotlight: Bozoma Saint John, Endeavor
Talent: Bozoma Saint John, Charlotte Howard
Category: CMOs in the Spotlight, sponsored by The Economist
時間:30分

― 今年立てていたストラテジーはパンデミックの影響でどう変わりましたか? 

パンデミック以前に立てていた計画や、予測も戦略は何も成功していない。今までこんなことなかった。私たちのビジネスは、タレントをライブイベントやメディアに出演させることですが、ほとんどのものは中止になる。私たちはBtoC/BtoBとつながる新たな方法を模索しており、これらは、私たちの新しい戦略になっている。

― 例を教えてください

例えば、NYのファッションウィーク。ファッションショーは、そもそもフィジカルな体験でしたが、これをデジタル、バーチャル空間で実施した。とってもチャレンジングだった。
デジタル・アクティベーションが重要でした。消費者とコミュニケーションを維持するためにも、デジタルを迅速に利用する必要がありました。
消費者とクライアントの関係性をデジタル空間の中でどのように維持していくかがキーだった。
https://www.vogue.com/article/digital-fashion-weeks-2020

人種・社会問題に直面する今、多様性を持ってファッションウィークを進める事も大切。そのために、有色人種のデザイナーたちのサポートが必要だった。解決策を得るためこれまでのことを変革させていった。

先ほどの例に出てきている多様な人材雇用は、どのような助けになったか? 
ニューパートナーもしくは、今までのパートナーたちと新たな関係性を持ったという事でしょうか?

ビジネスはお互いにどのように関係していくかが大切ですよね。ファッションビジネスをしているけど、様々なブランドがファッションというプラットフォームの中で表現することを考えている。(VISAはNYファッションウィークのオフィシャルペイメント)

– 今、KPI(業績評価指標)は?

ボスにKPI と聞かれても大笑いするしかないわ。この危機下での最大の成功は「生きている」ことよ!この「パンデミック禍」での一番の成功は、作り出したブランドやプラットフォームが存続すること。

― 最近何か驚くようなチャンスなどありましたか?

チャレンジ、という事だと今は、マーケティングテストできる期間。
これまでのやり方が通用しない今、自分たちに何ができるのか、新しいイノベーションを生み出せるのか。
ここ5年間、デジタルトランスフォーメーションは起こってきたけれど、何か月も時間をかけて計画的に進められてきた。でも今は、そんな計画どこにも存在していない。
マトリックスもKPIも変わってきている。そしてスピード感が全然ちがう。
今まではデータ分析に基づいてある程度の時間がかかっていたことが、今は状況が変わった。これまでは18ヶ月で何をするとか、次の一年でどうするとか話していたけれど、誰もがHigh-speed Innovationへのシフトが必要だということが今回わかったはず。データももちろん必要だけれど、今すぐ何かを判断する必要があれば、直感や腹落ちに頼ろう。

― もしパンデミック前の状態に戻ったとして、働き方は変わると思う?

データ活用という視点では、元の通りに100%戻ることはないと思う。ただこのスピードが延々続くのは健全ではない。動き出す前に考える時間が必要だと思う。過去と今の間がちょうどいいところだと思う。素早く動き、賢く考え、人々の感情を駆り立てていくことが大切。

― アメリカ Black Lives Matterムーブメントについて

ビジネスコミュニティーのリアクションに驚いている。こういう事件は初めてじゃないし、Black Lives Matterの活動ももっと前から始まっている。こんなに広がっていることに驚いている。これが続くといいと思っている。多くの会社はモラルに対するプレッシャーを感じていると思う。多様性はビジネスに利益をもたらす。これはアメリカのことだけでなく、世界中の動きだ。
自分のミッションとして感じているのは、すべての会社に何が起こっているのか理解してもらい、それぞれに行動してもらうこと。

― 自身のプロジェクト Endeavor 自体のプロジェクトでも多様性を大切にしているけど、これらが有益に作用するためには何が必要?

自分は企業で働いているが、同時に個人活動もしている。その際、個人で感じていることを、同じぐらい企業の中でも大事にしていくべき。今の人種差別問題に対して個人として感じ、信じていることに忠実に、仕事場でも活動、活躍したい。
ビジネスリーダーたちは自分自身の感情も大切にして、「人」として反応してほしい。
そして自分のピュアな信念を伝える「声」が世界に届くといい。そしてそのための公平さがデジタルプラットフォームにあるといい。今、企業の戦略は「未来」に合わせるより、現在の課題(感染危機、人種差別)に照準を合わせないと、先を読み間違えることになる。

例えば、行ったこととしては、#ShareTheMicNow(シェア・ザ・マイク・ナウ)
黒人女性の「声」を白人女性のプラットフォームの中で伝えていく活動を行った。
コートニー・カーダシアンとインスタグラムのアカウントを交換し、アフリカ美術の美しさを伝えた。

④Day 3(Activism Day)

CMOs in the Spotlight: Tamara Rogers, GSK

Talent: Charlotte Howard, Tamara Rogers
Category: CMOs in the Spotlight, sponsored by The Economist
時間:25分

【GSKについて】
グラクソ・スミスクラインは、イギリス・ロンドンに本社を置く世界有数の規模を持つグローバル製薬企業。ステロイド吸入剤などの気管支喘息治療薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬「ザンタック」などを開発・発売していたグラクソと、ゾビラックス(抗ヘルペスウィルス剤)やレトロビル(抗HIV薬)など世界で初めて抗ウィルス薬の開発に成功したバローズ・ウェルカムが1995年に合併してグラクソ・ウエルカムが発足。その後、世界初のH2ブロッカー薬タガメットや、オーグメンチン(ペニシリン系抗生物質)、パキシル (SSRI) など世界的売上規模を誇る製品を開発・発売してきたスミスクライン・ビーチャムとグラクソ・ウエルカムが2000年に合併し現在に至る。

【Speaker: Tamara Rodgersについて】
Chief Marketing Officer, GSK 
エジンバラ大学卒。UnileverにてSNP、EVPを経て、2018年にEMEA統括役員としてGSKに入社。19年8月より現職。

― 今年のGSKの経営計画や達成目標は何ですか。また、どのようにしてこのコロナの状況を乗り越えようとしていますか。

GSKは世界でNO.1のグローバルコンシューマーヘルスケアビジネスとして、“人々が人生でより多くのことに取り組み、健康に長生きするのを助ける”、という特別な理念を掲げている。ブランドポートフォリオにおいては明確なクラスター、“圧倒的なグローバル・カンパニーであり、かつローカルのスターでもある”というパワーブランドを設定。我々、製薬業界にダイレクトに関わるパンデミックが発生後、経営計画を軌道修正し、消費者目線でのGSKのブランドポートフォリオを、(1)マーケット連動のプレミアム製品、(2)コロナ関連症状の治療に役立つ主力商品、(3)予防製品、(4)日用品・口腔衛生事業の4つのカテゴリに再分類。ブランド・コミュニケーションにおいても、メディアとコンテンツの戦略を変えて、必要なメディアに確実に露出するようにした。

― 特筆すべきは、これらの意思決定が行われた迅速さです。計画を軌道修正し、必要な時間内にこれらの事項を決定・遂行するには、何を変更する必要がありましたか?

コロナ渦の今、誰もが欲する適切なコミュニケーションを心掛け、目の前で起こっていることに即した発信ができた。一例として、コロナ渦で患者を診察できない歯科医と連携し、ステイホーム中の絶え間ない間食が歯に与える影響について、歯科医からのアドバイスを動画配信。当初は予定していなかったオンライン販売にも対応した。
社内での意思決定方法にも軌道修正を求められ、情け容赦なく優先順位をつけなけなければならなかった。トップからのフィードバックを待たずとも、すぐに行動できるよう、現場主導のスピード重視の意思決定が非常に重要であった。
健康をテーマに、消費者は何の情報を検索しているのか。Googleと協力してデータ解析を行った。この解析結果をクリエイティブに反映させ、消費者が求めている最適なタイミングで、ニーズに即したコンテンツを配信することを意識した。

― eコマースにおいて、コロナ後も消費者がオンライン購入にシフトしていくと思われますか。またそれが今後のGSKの戦略をどのように変えると思いますか?

ヘルスケア分野では、eコマースで販売できる商品がいくつかあるが、実際には薬剤師が必要な商品もある。ロックダウンによりeコマースの便利さだけでなく、ニーズ自体も高まっている。完全に対面販売に取って代わるものではないが、我々にとっては大きなアクセラレーターであった。

― ロックダウン中のエンゲージメント(消費者との結びつき)について

消費者の感情や気分を理解するために、数多くのライブトラッキングツールとダッシュボードを使用。これらのマーケットを解析することは我々の最優先事項。解析したデータから多くを学び、仮説をたて、それを検証している。
消費者は健康についてより積極的に考え、症状に対処する適切な製品が何かということについて、常に正しい情報を探している。消費者が今最も求めている情報は、単なる宣伝ではなく、そのブランドが本当に有用であるかということなのだ。

― Black Lives MatterおよびFacebookへどのような対応を取っていきますか。

GSKは人種差別を容認せず、多様性の拡大の必要性を非常に真剣に受け止めている。グローバルビジネスとして、多様性を取り入れず、異なる視点を取り入れなければ、最大公約数を導き出すことはできない。
試練に直面しているFacebookは多くの声に耳を傾けながら、バランスを取ろうと必死になっている。しかしながら、ある時点で転換点に達し、ネガティブな空間であると見られるになった場合は、我々は自身のブランドを守る必要が出てくる。エージェンシー、グーグル、フェイスブックは非常に重要なエコシステムであり、我々は手を取り合って直面する課題に取り組む必要がある。

― 高度に個人をターゲットしたマーケティング手法をどのように行っていますか。

我々はプログラマティックのため、GoogleのTech Stackを利用した最初のコンシューマーヘルスケア企業だ。我々自身もいくつかのファーストパーティデータを持っており、GDPRなどプライバシー保護の観点から、Googleと連携してデータを匿名化するアプローチを採っている。また、広告を配信する対象を、狙っているオーディエンスと似ている対象に拡張していく「Look-Alike」ターゲティングを行い、適切なコンテンツを提供している。

⑤Day 4

CMOs in the Spotlight: Katie Riccio Puris, TikTok
Talent: Katie Riccio Puris, Dana Anderson

Category: CMOs in the Spotlight, sponsored by The Economist
時間:25分

TikTokはオーセンティックでリアルさが大事なコミュニティ。ダンスなどの楽しさもあれば、深い共感を引き出すようなコンテンツもある。TikTokは一つのストーリーが様々な角度から楽しめる。ブランドや企業も完璧なコンテンツをあげるより、どんどんTikTokの中で変化していっていい。
例えばこのEYES.LIPS.FACE TIK TOK CHALLENGE

ブランドや企業に伝えたいのは「広告を作るというマインドは捨てて、TikTokを作るんだと考えて欲しい」
社内にCreative Labというチームがあり、そのチームがブランドや企業のサポートができる。これまで Facebook、そして今はTikTokにいるが、スタートアップにいると二十数年前にやっていたことを、時を経てまた今やっていたりと、とても新鮮。
スマホは基本的に音をオフにして使う端末だが、TikTokは音をオンにして楽しんでもらえる。クリエイティブの幅が広がるはず。TikTokでお酒の広告が解禁されるか?という質問については「わからない」としか言えない。TikTokはエンタメベースのプラットフォームなので、競合がいるとすればその領域になる

⑥Day 5

CMOs in the Spotlight: Pedro Earp, AB Inbev
Talent: Pedro Earp, Dana Anderson
Category: CMOs in the Spotlight, sponsored by The Economist
時間:30分

【AB InBevについて】
ベルギー・ルーヴェンに本拠を置き、世界50カ国以上に製造拠点を持つ酒類メーカー。
2008年、ベルギーのインベブが、バドワイザーで知られるアメリカのアンハイザー・ブッシュを買収・合併し、社名変更。買収総額は約5兆8000億円で、ビールメーカーの買収では空前の規模。2012年、メキシコのグルポ・モデロの未保有株を取得し、完全子会社化した。16年10月にはイギリスを本拠とするSABミラーの買収(吸収合併)が完了、ビール飲料の世界シェアは3割に達した。

【Speaker: Pedro Earpについて】
Chief Marketing Officer, AB InBev
2000年に南米のグローバルマネジメントトレーニーとしてAB InBevに入社。
マーケティング、顧客リレーション、M&Aなどさまざまな部門を経験し、現在にいたるまでAB Inbev1社にてキャリアを積み上げた生え抜き。

― あなたは一つの企業でキャリアを積み上げ、様々な業種を担当したことで、全社的な視点を持った珍しいCMOですが、それは良いことでしたか?

人々にマーケターとは何かと聞けば、おそらく多くの人は広告に携わる人と答えるだろう。もちろん広告はCMOの仕事の一つではあるが、近年は顧客が持つ課題を解決することがより重要なミッションとなっている。
コロナ禍に見舞われて大変厳しい環境に置かれた今だからこそ、より一層、CMOはビジネスにおける結果を求められるようになるだろう。企業のために結果を出すだけでなく、顧客にとってもためになるソリューションを提供できたかについても、マーケターが責任を負っており、そういう意味で、マーケティングだけでない、包括的な視野が大切になっているといえる。

― COVID-19の顧客への影響は?

大変大きな変化が顧客層の行動パターンに現れた。最初は恐怖で自宅に閉じこもり、その後、状況が緩和されて、人々は徐々に外に出始めている。COVIDも恐怖だが、それによって経済が収縮してしまうのも恐怖だ。そのため、人々はフェーズにそって行動を変えていっている。我々はこのような顧客の行動変化に沿ったソリューションを迅速に提供するよう努めている。

― 顧客のニーズをつかむには。

いつもチームに伝えているのは「課題が何かを見つけ、トレンドを予測せよ。顧客の行動変化を理解し、競業よりも早く対応せよ」ということ。今回のパンデミックでもそのいい例があったので紹介したい。コロナが広がった当初は人々はウィルスから身を守るため消毒薬やマスクの購入に躍起になった。そんな時にビールは求められていない。そこで、今人々が求めているものは何かという視点に立って、400万本の消毒液を寄付し、南米では病院へ医薬品を運ぶために我々が持つロジスティック網を活用してもらい、我々が持つプラスティック容器はフェイスシールドの材料となった。

― AB InBevの今後は。

再び社会においてとても大切な役割を果たすことができると信じている。それは人々をつなぐということだ。ビールは千年以上の昔から人々をつなぎ、人々の生活を
豊かにしてきた。目下、コロナ禍の影響で人々が一堂に会するのは難しい状況だが、中長期の視点に立てば、人々を一つにするというコンセプトのもと、今後も素晴らしい商品を提供していくことができるだろう。
コロナ禍の影響で人々が外出を自粛したことが契機になってE-commerceも新しい成長分野として急速に拡大している。数年前まではわが社ではE-commerceを重要な領域と考えられていなかったが、今では大きなインパクトを与える分野といえる。