高宮 範有 (たかみや のりくに)
I&CO Tokyo共同代表/クリエイティブディレクター
2004年デルフィスに入社。PARTY、CYPARを経て、19年7月、I&CO Tokyoを立ち上げ、共同代表に就任。主な仕事に、「UNIQLO / IQ」「StyleHint」「StyleHint原宿」のコンセプト開発・UXデザイン、「Mercari Inc. / 上場時のコーポレートブランディング」「P&G PANTENE / #この髪どうしてダメですか」などがある。

Q1.2020/21カンヌライオンズで最も印象に残った作品3つを挙げてください。

NAMING THE INVISIBLE(TELENOR PAKISTAN/TELENOR 4G)

FEED PARADE(MERCADO LIVRE)

STRANGER ANTENNA(NETFLIX)

Q2.国内外でクリエーティブの評価方法はどんな点が最も違うと感じましたか。

 日本と比較して違うと感じた点が2つある。1つは、インクルーシヴ(包摂)やダイバーシティ(多様性)、ソーシャル・ジャスティス(社会正義)などの基本要件のハードルが、カンヌでは日本より高いことだ。カンヌの審査会では必ず、「この取り組みは何を解決するものか」「これは誰かを傷つけていないか」といった視点で議論されていた。2つ目は、プライバシーの問題だ。「どうやって許諾を取っているのか」「この情報はどういうルートで手に入れているのか」など、個人情報に関する質問が審査会では飛び交っていた。特にヨーロッパにいる審査員はプライバシーの意識が非常に高いと感じた。

Q3.クリエーティブの新たなトレンドやヒントが見えてきましたか。

 トレンドではなく、本質への回帰を感じた。本来、広告単体ではなく、製品やサービスにも「クリエイティビティ」が宿る。審査では、経営層や社員を含む企業のあり方にも目を光らせていた。企画・制作者として映像やグラフィックなどを作るだけではなく、製品やサービスの開発、体験設計にもっと関与していかなくてはならない。コミュニケーションで外側の部分だけを良く見せても、見ている人の心には届かないだろう。見せるだけでなく、実際に体験、参加してもらう事例が数多く見られたように、企業と生活者は短期的ではなく、永続的な関係を構築する時代を迎えているのではないかと思った。