3Questions-Innovation Lions – Jury President

クラウディア・クリストヴァオ(Claudia Cristovao) Head of Brand Studio APAC at Google 
W + K、SID LEE、AKQAなどの広告会社で、NIKEやGoogle、HONDAをはじめとした国内外のクライアントに対し、コピーライターやブランド開発の専門家として、広告からデジタルメディアにわたる様々なクリエイティブ領域のプロジェクトに従事。New York Festivals、AdFest、Spikes Asia、W20 and the WIRED Hack Awardsなど、様々な国際賞の審査員を務めている。

Q1.カンヌライオンズのようなフェスティバルの審査員長は、どんな役割が最も難しいと考えますか。 

 審査委員長にとって本当に難しいのは、審査員に良い決定を促し、過小評価されている作品や、コンテクストが見えにくい作品にスポットライトを当てることである。審査会で議論するような作品は、ほとんどの場合、非常にレベルが高いので、いかに見落としをなくし、今後の方向性を示す作品をどう探すかがカギとなる。業界にどんなシグナルを与えられるのか? これから歩むべき道を示せるか? あるいはクリエイティブの常識をどう打ち破るか? イノベーション部門についていえば、作品に使われているテクノロジーがあたかも全く新しいものに見えてしまうことがよくある。そうした罠に陥らず、全く違う方向から判断できる審査員を率いることができたことをうれしく思った。

Q2.2020、21年のカンヌライオンズでは、イノベーション部門の審査委員長を務めました。審査員をどう導きましたか。

 私はいつもこんなふうに言っている。「寛大であれ。この1年は大変な年だった。好奇心を持て。世界は広い。 公正であれ。そして、 注目に値するもの、心に響く作品だけを高く評価せよ」。これが審査委員長としての私の方針だ。

Q3.クリエーティブの新たなトレンドやヒントが見えてきましたか。

 「テクノロジー」という言葉には、非常に多くの意味があるが、空虚なものではない。 私たちが「tech」と呼ぶものは、生活において、想像力において、製品や構造、ツールなどにおいて、これまでできなかったことを可能にしてくれるものだ。我々はこの1年、身体的な問題に直面してきた。 人々はそれぞれの現実の中に閉じ込められ、人との接触を恐れ、死をも意識していた。このため、 生き生きとした世界を描き、身体の潜在力を広げるような作品が多かったことは理にかなっていたといえる。環境問題や人間の尊厳に関する関心をテーマとして取り上げる作品にも、非常に控えめながら「tech」が必要とされることがある。私たちはそれらに向き合い、前進すべきだ。私は想像力が弾けるような広がりや、思いがけない飛躍をもたらす発明が大好きだ。しかし、それよってもたらされる「輝かしい未来」は、私たちが、それぞれの存在や責任を顧みないことの代償となってはならない。

原文は英語。翻訳は日経広告研究所。