檀上真里奈(だんじょう まりな)電通 コピーライター
武蔵野美術大学油絵学科卒業後、2014年電通入社。広告やデザインの分野でコピーライティングと企画を行う。主な仕事に、日経「星新一賞」、日本花き振興協議会「Okulete Gommen」などがある。Cannes Lions・ONESHOW・ADFEST・Spikes Asiaのデザイン部門、D&ADインテグレーテッド部門の審査員を担当。

Q1.2020/21カンヌライオンズで最も印象に残った作品3つを挙げてください。

H&M LOOOP(H&M)

TIME LAPSE IN GOOGLE EARTH(GOOGLE)

POUR PERFECTLY(KRAFT HEINZ CANADA)

Q2.国内外でクリエーティブの評価方法はどんな点が最も違うと感じましたか。

 評価方法そのものに違いは無いと思う。ただ、審査がすべて終わった後に「今回の審査はとてもピュアだった」とある審査員が言っていたことを思い出した。国内賞と違い、海外賞は審査員が毎年入れ替わるうえに、ほぼ全員が初対面でお互いのことを詳しく知らないので、みんなが思ったことを率直に発言する。文化も言語も性別も仕事における得意分野も違う人が集まるから、それぞれが違った角度で作品を見ていて、その違いにこそ価値があると考えられている。自分には見えていなかった作品の良いところを教え合える、審査会という名の勉強会でもあると思う。

Q3.クリエーティブの新たなトレンドやヒントが見えてきましたか。

 デザイン部門のグランプリに選ばれた「H&M LOOOP」と「NOTPLA」はどちらも環境問題にアプローチした優れたアイデアだった。これまでのカンヌ受賞作にもこのような社会課題の解決を目指す作品はたくさんあったけれど、今回は以前よりも具体性やリアリティが求められた印象だ。LOOOPは客の目の前で古くなった服を新品の服に変えてみせる実店舗型の施策である点にインパクトがあったし、NOTPLAは審査員の中に既に実際に体験した人がいて、口の中で溶けてなくなる容器がいかに新しく、脱プラの1つの選択肢として可能性を感じるものだったかを熱く語ってくれたことが加点につながった。グランプリ以外でも、何かを具体的に変え、前進させる力を持ったものが今回は求められていた。